六巻は三組の恋が同時に動く巻です。壬氏と猫猫、羅漢と鳳仙、里樹妃と馬閃。全部違う状況にある三組の、それぞれの決着と未決着が一冊に詰まっています。
読み終えてずっと頭に残るのは、羅漢と鳳仙のことでした。
鳳仙が亡くなる
二巻で描かれた羅漢と鳳仙のすれ違いの後日談が、六巻で語られます。鳳仙は薬物への依存と病によって体を蝕まれ、六巻で亡くなります。羅漢は最後まで身請けしようとしていたが、間に合わなかった。
二巻に「地面に這いつくばり、人目をはばからず号泣したところで、時は戻らない」という言葉があります。あの言葉の重さが、六巻で改めてわかります。羅漢が悪い人ではなかった。鳳仙も悪い人ではなかった。ただ情報が伝わらなかっただけで、二人の人生は大きく変わった。「それだけのこと」が最も残酷だと思う。
壬氏が猫猫をくすぐる
五巻のキスから、壬氏と猫猫の距離はなかなか縮まりません。猫猫が正面から向き合うことを避けていて、壬氏がアプローチをかけようとするたびにかわされる。
そこで壬氏が猫猫をくすぐる場面があります。真剣な話をしようとしたら話をそらされたので、別の方法で注意を引こうとした結果です。
一巻で「有能な道具」として猫猫を扱っていた壬氏が、今は相手の気を引こうとしてくすぐっている。この変化を「成長」と呼ぶのか「退行」と呼ぶのかはよくわかりませんが、好きな場面です。猫猫の「面倒くさい」防衛線は六巻でも健在で、それでも完全に無関心ではない気配だけは漏れてくる。そのじりじりとした距離感が続きます。
里樹妃と馬閃の関係が動く
里樹妃の後宮での処遇が六巻で動き、豪快な武官・馬閃との関係が形になります。里樹妃は強がりながら後宮になじめずにいた人物で、馬閃とのギャップが面白い。
完全な決着にはならないものの、「この先がある」という余韻を残す形で終わります。三組の中では一番「これから」の匂いがする関係です。
まとめ
小説版六巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。
- 鳳仙(猫猫の実母)が亡くなる。羅漢は身請けに間に合わなかった
- 五巻のキス後も壬氏と猫猫の距離は縮まらず、壬氏が猫猫をくすぐる場面がある
- 里樹妃の後宮での処遇が動き、馬閃との関係が形になる
- 砂欧など異国との問題が絡み、七巻への伏線が積まれる
三組の恋を一冊で見せる六巻は、読み終わると感情的に少し疲れます。それが悪い意味ではなくて、読んだという満足感として残る疲れです。鳳仙の話がずっしりくるぶん、壬氏のくすぐりエピソードが妙に効いてきます。
