1990年代の漫画界に鮮烈な衝撃を与え、今なお語り継がれる安達哲先生の伝説的な作品『さくらの唄』。
そのあまりにも美しく、そして残酷な青春の物語は、多くの読者の心に深い爪痕を残しました。
この記事では、「さくらの唄の結末が知りたい」「どんな物語だったか振り返りたい」というあなたのために、第1話から最終話(第28話)までのあらすじを、結末の考察まで含めて徹底的にネタバレ解説します。
物語の核心に触れる内容となりますので、未読の方はご注意ください。
『さくらの唄』の作品情報
まずは『さくらの唄』の基本的な情報をご紹介します。2025年現在、電子書籍で読むことが可能です。
- タイトル:さくらの唄
- 作者:安達哲
- 出版社:講談社(ヤングマガジン掲載)
- 配信状況:電子書籍版が全2巻で完結済み
コミックシーモアなどの電子書籍ストアで、上巻・下巻ともに配信されています。
【ネタバレ注意】
ここから先は、漫画『さくらの唄』の物語終盤や結末に関する重大なネタバレを全面的に含みます。
まだ作品を読んでいない方、ご自身の目で結末を確かめたい方は、ブラウザを閉じて先に本編をお楽しみください。
物語を彩る主要な登場人物
物語は、それぞれに悩みを抱える高校生たちを中心に展開します。
- 市ノ瀬利彦:本作の主人公。絵を描く才能に恵まれながらも、無気力でどこか冷めた日々を送る高校3年生。姉と二人で暮らしており、複雑な家庭環境が彼の性格に影を落としています。
- 仲村真理:利彦の同級生で、誰もが憧れる学校のマドンナ的存在。利彦が制作する映画のヒロインとなり、彼と心を近づけていきます。
- 三ツ輪裕子:利彦が密かに想いを寄せる美術教師。産休に入ることで、物語から一時的に退場します。
- 金春久吉:利彦の叔父。不動産業を営み、利彦を可愛がる一方で、裏社会にも通じる得体の知れない人物。物語における「大人の欲望」を象徴する存在です。
全話ネタバレ|第1話から最終回までのあらすじを解説
『さくらの唄』は全28話で構成されており、電子書籍では上巻(第1話〜第17話)と下巻(第18話〜第28話)に分かれています。物語は、文化祭を境にその様相を大きく変えます。
導入:くすぶる日常と青春のきらめき(第1話〜第8話)
物語は、主人公・市ノ瀬利彦の退屈な日常から始まります。彼は絵の才能を持ちながらも将来に希望を見いだせず、無気力な日々を過ごしていました。
そんな彼の日常に変化が訪れたのは、文化祭で上映する短編映画の制作プロジェクト。利彦は絵の才能を買われてポスター制作などを担当し、ヒロインを演じる学校のマドンナ・仲村真理と関わるようになります。映画作りという共通の目標を通じて、利彦、真理、そして仲間たちの間には、淡い青春の輝きが芽生え始めます。
展開:深まる絆と忍び寄る影(第9話〜第17話)
映画制作は順調に進み、利彦と真理の距離は急速に縮まっていきます。閉塞感のあった利彦の世界は、真理という光によって彩られ、彼は徐々に生きる実感を取り戻していきます。
しかし、その輝かしい青春の裏側では、不穏な影が静かに忍び寄っていました。利彦の叔父である金春久吉の存在です。彼は利彦に対しては優しい叔父として振る舞いますが、その言動の端々には、大人の世界のどす黒い欲望が垣間見えます。この時点ではまだ伏線として描かれるのみですが、物語が破局へと向かうための重要なピースが着々と配置されていきます。
クライマックス:文化祭で砕け散る青春(第18話〜第28話)
物語は下巻に入り、いよいよクライマックスへ。仲間たちの努力の結晶である映画『さくらの唄』は無事に完成し、文化祭当日、満員の観客の前で上映の時を迎えます。
スクリーンに映し出される、儚くも美しい青春の物語。しかし、その上映会の場で、誰もが予想しなかった悪夢のような出来事が発生します。それは、彼らが作り上げた美しい世界を根底から破壊し、青春そのものを汚す、あまりにも残酷なカタストロフィでした。
この事件をきっかけに、登場人物たちの運命は大きく狂い始めます。純粋だったはずの青春は、大人の欲望と悪意によって無惨に踏みにじられ、物語は衝撃的な結末へとなだれ込んでいくのです。
最終話で描かれる彼らの「その後」は、読者の心に深く突き刺さる、救いのないもの。青春の輝きと絶望のコントラストが、本作を伝説たらしめる所以と言えるでしょう。
結末の解釈と伏線回収|『さくらの唄』が伝えたかったこと
『さくらの唄』の結末は、なぜあれほどまでに残酷だったのでしょうか。
作中に登場する「絵」や「映画」、そしてタイトルにもなっている「桜」は、すべて「一瞬の輝き」と「失われゆくものの象徴」として描かれています。桜が満開の美しさの後に必ず散るように、彼らの青春もまた、最も輝いた瞬間に砕け散る運命にありました。
そして、その青春を破壊する存在として描かれるのが、叔父の金春です。彼は「社会の理不尽」や「大人の腐敗した欲望」そのもの。純粋で無力な若者たちの世界は、そうした抗いがたい力によっていとも簡単に壊されてしまうという、厳しい現実を突きつけています。
この作品は単なる鬱漫画ではなく、青春という季節が持つ、抗いがたいほどの輝きと、それに寄り添う逃れられない痛みを、極限の形で描いた文学的な作品と言えるでしょう。
読む人を選ぶ?刺激的な描写への注意点
『さくらの唄』は、その衝撃的な内容から、刊行当時に有害図書指定された経緯を持つ作品です。
作中には暴力的なシーンや性的に過激な描写が数多く含まれており、精神的に大きなショックを受ける可能性があります。特に、物語のクライマックスである文化祭以降の展開は、心に深い傷を残しかねません。
美しい青春物語を期待して読むと、その落差に打ちのめされることになります。読む際には、そうした過激な描写があることを十分に理解した上で、自己責任で読み進めることを強く推奨します。
『さくらの唄』はコミックシーモアで今すぐ読める!
今回ご紹介した『さくらの唄』は、コミックシーモアで全2巻が配信中です。電子書籍なら、いつでもどこでも、この伝説的な物語の世界に浸ることができます。
ネタバレを読んで興味が湧いた方、もう一度あの衝撃を味わいたい方は、ぜひチェックしてみてください。
よくある質問(FAQ)
- Q. 巻数は全部で何巻ですか?
- A. 2025年11月現在、電子書籍では全2巻(上・下)で完結しています。過去に出版された紙の単行本とは巻数が異なる場合があるため、電子版での購入が確実です。


