【ネタバレ注意】この記事は、小西明日翔先生が描く傑作『春の呪い』の全2巻について、第1話から最終話までのあらすじと結末を徹底解説します。物語の核心に触れる内容が含まれるため、未読の方はご注意ください。
先に結末だけ知りたい方へ:物語のラストで、主人公の夏美と冬吾は過去の呪縛と向き合い、二人で未来へ歩み出すことを決意します。その過程で描かれる心の機微こそが、本作最大の魅力です。
『春の呪い』とは?作品の基本情報
『春の呪い』は、漫画家・小西明日翔先生による作品で、月刊Comic ZERO-SUMで連載されていました。単行本は全2巻で完結しており、その濃密なストーリーと息をのむような心理描写で、多くの読者を魅了し続けています。「このマンガがすごい!2017」オンナ編で第2位に輝いたことからも、その評価の高さがうかがえます。
2021年には実写ドラマ化もされ、原作の持つ独特の緊張感と切なさが映像でも表現され、大きな話題となりました。
- 著者:小西明日翔
- 掲載誌:月刊Comic ZERO-SUM
- 巻数:全2巻(完結)
- 出版社:一迅社
物語のすべてを味わいたい方は、電子書籍で一気に読むのがおすすめです。
物語を彩る主要登場人物
この物語は、主に3人の登場人物の複雑な関係性を軸に進んでいきます。
- 立花 夏美(たちばな なつみ)
本作の主人公。亡くなった妹・春を溺愛しており、その死によって心に大きな穴を抱えています。春の婚約者だった冬吾と、奇妙な関係を始めることになります。 - 立花 春(たちばな はる)
夏美の妹。物語開始時点ですでに故人(享年19)。病によって短い生涯を終えました。生前、冬吾と婚約していました。SNSでは「アキ」という別人格のような一面も持っています。 - 柊 冬吾(ひいらぎ とうご)
春の婚約者だった青年。名家の御曹司で、冷静沈着に見えますが、内には複雑な感情を秘めています。春の死後、夏美に交際を申し込み、物語を大きく動かします。
『春の呪い』各話のネタバレあらすじ
ここからは、第1話から最終話までの物語の流れを、章ごとに詳しく解説していきます。衝撃的な展開の連続に、きっとページをめくる手が止まらなくなるはずです。
第1話「Spring is gone」
物語は、夏美が最愛の妹・春を病で亡くしたところから始まります。生きる意味そのものだった春を失い、深い喪失感に沈む夏美。そんな彼女の前に現れたのは、春の婚約者だった柊冬吾でした。彼は夏美に対し、突拍子もない提案をします。「僕と付き合ってください」。妹を奪った男からの信じがたい申し出に、夏美は憎しみと戸惑いを覚えます。
第2話「7月」
冬吾の申し出を、夏美はある条件付きで受け入れます。その条件とは「春とデートした場所に、私を連れて行くこと」。それは、妹の影を追い求めるための、歪で危険な交際の始まりでした。夏美は冬吾の中に春の面影を探し、冬吾もまた、夏美を通して何かを見ようとしているかのよう。二人の奇妙なデートは、罪悪感と切なさに満ちています。
第3話「8月」
春の思い出の場所を巡るデートを重ねるうち、夏美と冬吾の距離は少しずつ縮まっていきます。しかし、夏美の心は常に春に縛られています。夜道を歩けば、背後に春の気配を感じる…。「春の呪い」は幻覚となって夏美を苛み始めます。一方、冬吾もまた、春に対する罪悪感と、夏美に惹かれ始めている自分との間で激しく葛藤するのでした。
第4話・第5話「9月(前編・後編)」
物語は大きな転換点を迎えます。夏美は偶然、春が遺したSNSアカウントを発見します。「アキ」と名乗るそのアカウントには、夏美が知らなかった春の、暗く、そして正直な本音が綴られていました。そこから浮かび上がるのは、純真無垢な妹のイメージとはかけ離れた、嫉妬や独占欲に満ちた一人の少女の姿。夏美は「春の呪い」の本当の意味を知り、激しく動揺します。
第6話・第7話「11月(前編・後編)」
春の本当の姿を知ったことで、夏美と冬吾の関係は一度崩壊します。しかし、離れたことでお互いの存在の大きさに気づいた二人は、再び向き合うことを決意。冬吾は家柄やしがらみを捨ててでも夏美と共にいることを選び、夏美もまた、妹の呪縛から逃れるのではなく、それを受け入れて前に進むことを決意します。二人の覚悟が試される、クライマックスに向けた重要な局面です。
最終話「and winter will come.」
すべての過去と向き合った夏美と冬吾。二人が選んだ未来とは?「春の呪い」は解けるのか、それとも二人を縛り続けるのか。物語の結末は、単純なハッピーエンドとは言えません。しかし、そこには確かな希望の光が差し込んでいます。喪失の悲しみを乗り越え、自分たちの人生を生きようとする二人の姿は、静かな感動を呼びます。最後のページを閉じたとき、タイトルの本当の意味が心に深く染み渡ることでしょう。
考察:「春の呪い」の正体とは?
本作のタイトルでもある「春の呪い」。これは本当に、亡くなった春が夏美と冬吾にかけた呪いなのでしょうか?
物語を読み解くと、その正体はもっと複雑であることがわかります。それは、「残された者たちが抱く罪悪感そのもの」と言えるでしょう。夏美は「妹を差し置いて自分が幸せになってはいけない」という罪悪感に、冬吾は「春を救えなかった」という罪悪感に縛られています。
春が遺したSNSの言葉は、その罪悪感を増幅させるトリガーに過ぎません。本当の呪いは、自分自身の心が生み出していたのです。最終的に二人がその呪いとどう向き合うのか、その過程こそが本作の最大のテーマとなっています。
実写ドラマ版との違いは?
実写ドラマ版も高い評価を得ていますが、原作とは少し異なる魅力があります。
- 演出のトーン:ドラマ版は、一部ホラーテイストを強めた演出があり、視覚的なインパクトが大きくなっています。
- 心理描写:原作漫画は、モノローグや表情の機微で登場人物の心情を丁寧に描いています。特に夏美の心の揺れ動きは、漫画ならではの表現で深く伝わってきます。
ドラマを観て興味を持った方は、ぜひ原作漫画を読んでみてください。キャラクターたちのより繊細な感情の動きに触れることができ、物語への理解がさらに深まるはずです。
よくある質問(FAQ)
- Q. 結局、春は夏美を呪っていたのですか?
- A. 直接的な呪いというよりは、春が遺した言葉や存在そのものが、夏美たちの罪悪感を刺激し「呪い」として機能しています。解釈は読者に委ねられる部分もありますが、物語の本質は残された人々の心の葛藤にあります。
- Q. 夏美と冬吾は最終的に結ばれるのですか?
- A. はい。二人は多くの困難を乗り越え、お互いの気持ちを確かめ合い、共に生きていくことを選びます。その結末は非常に感動的です。
『春の呪い』の結末を、あなたの目で確かめて
この記事では『春の呪い』のネタバレあらすじを解説してきましたが、本作の本当の魅力は、文字だけでは伝えきれない登場人物たちの繊細な表情や、息苦しいほどの緊張感が漂うコマ割りにあります。
全2巻という短い中に、愛、嫉妬、罪悪感、そして再生の物語が凝縮されています。読み終えた後、きっとあなたの心にも忘れられない余韻が残るはずです。
この息をのむような傑作を、ぜひコミックシーモアで読んでみてください。


