川村元気さんの小説『世界から猫が消えたなら』は、2016年に実写映画化もされ、多くの人々の心に深い感動と問いを投げかけた名作です。余命宣告を受けた「僕」が、自分そっくりの悪魔と「世界から何かを一つ消すことで、一日の命を得る」という奇妙な契約を結ぶ物語。
この記事では、原作小説『世界から猫が消えたなら』のあらすじを章ごとに追いながら、物語の核心に迫るネタバレを徹底解説します。物語の結末まで触れていますので、まだ知りたくない方はご注意ください。この物語が問いかける「失うこと」と「生きること」の意味を、一緒に探っていきましょう。
『世界から猫が消えたなら』とは?作品概要
『世界から猫が消えたなら』は、映画プロデューサーとしても知られる川村元気さんによる、心揺さぶる長編小説です。30歳の郵便配達員の主人公「僕」が、ある日突然、脳腫瘍で余命わずかだと宣告されるところから物語は始まります。
絶望する彼の前に現れたのは、自分と全く同じ姿をした陽気な悪魔。悪魔は彼に、世界から何かを一つ消す代償として、1日だけ命を延ばすという取引を持ちかけます。この取引を受け入れた僕が、大切なものを失うたびに、その価値や思い出と向き合っていく姿が描かれています。
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どんな話?胸を打つ物語のあらすじ
余命宣告を受けた郵便配達員の「僕」。彼の前に現れた悪魔との契約は、「世界からモノを1つ消すごとに、1日寿命が延びる」というものでした。しかし、モノが消えるとき、それに関わる思い出も人々の記憶から消えてしまいます。電話、映画、時計…そして、愛猫のキャベツ。大切なものを失う選択を迫られる中で、僕は元カノや親友、そして疎遠だった家族との過去を辿り直します。失って初めて気づく、ありふれた日常の愛おしさ。僕が最後に下す決断とは?これは、命の価値と愛するものを巡る、切なくも温かい物語です。
【曜日別】章ごとのネタバレあらすじを時系列で解説
物語は、月曜日に余命宣告を受けた僕が、悪魔と契約を結ぶ火曜日から始まります。曜日ごとに「消えるもの」と、それにまつわる思い出が描かれます。
火曜日:世界から電話が消えたなら
悪魔が最初に消すことを提案したのは「電話」でした。一日生きるために、僕はその提案を受け入れます。翌朝、世界から電話はきれいさっぱり消え去り、それと共に電話にまつわる全ての記憶も失われました。元カノと初めて話した緊張、遠くの友人と繋がった喜び。コミュニケーションの手段だけでなく、大切な人との関係を育んだ「繋がり」そのものが、薄れていく感覚に僕は気づき始めます。失ったのはただの機械ではなく、かけがえのない思い出だったのです。
水曜日:世界から映画が消えたなら
次に悪魔が提案したのは「映画」でした。大学時代、唯一の親友であるツタヤと映画を通じて友情を深めた僕にとって、映画は人生の一部でした。ツタヤと語り合った数々の名作、映画館で元カノと観た作品。映画が消えることは、親友との絆や恋の思い出が消えることと同じでした。それでも命を繋ぐため、僕は映画を消すことを選びます。世界から映画が消えた日、僕とツタヤを繋いでいた大切な共通言語は失われてしまいました。
木曜日:世界から時計が消えたなら
三つ目の取引で消えることになったのは「時計」です。時計店を営んでいた父との間には、母の死をきっかけに埋められない溝ができていました。僕にとって時計は、そんな父との確執の象徴でもありました。しかし、時計が消えることで、僕は父が自分に注いでくれていた不器用な愛情や、家族と過ごした時間の大切さを思い出します。時間を知る術を失った世界で、僕は初めて父親と向き合おうと決意するのでした。
土曜日:世界から猫が消えたなら
そして悪魔は、最も残酷な提案をします。「世界から猫を消そう」と。僕にとって愛猫のキャベツは、亡き母が残してくれた最後の家族であり、孤独な日々を支えてくれる唯一無二の存在でした。キャベツとの出会い、共に過ごした温かい日々。その全てが消えてしまう選択を、僕はどうしても受け入れることができません。キャベツを消して一日を生きるのか、それとも…僕は究極の選択を迫られます。
日曜日:僕が消えたなら【結末】
悩み抜いた末、僕は悪魔との契約を破棄する決断を下します。それは、自らの死を受け入れることでした。彼は猫を、そして猫と共にあった大切な思い出を守ることを選んだのです。残された時間で、僕は父親に電話をかけ、今まで伝えられなかった感謝の気持ちを伝えます。そして、最後に愛猫キャベツと元カノへ宛てた手紙を書き残します。彼の選択は、世界から自分が消えること。しかし、彼が生きた証や彼が与えた愛情は、残された人々の心の中で生き続けるのです。物語は、悲しいけれど、温かい希望の光を感じさせる静かな余韻と共に幕を閉じます。
映画版と原作小説の主な違い
映画版も非常に感動的な作品ですが、原作小説とはいくつかの違いがあります。映画を観た方も、原作を読むことで新たな発見があるはずです。
| 比較ポイント | 原作小説 | 映画版 |
|---|---|---|
| 物語の語り口 | 主人公「僕」の一人称視点で、内面の葛藤が丁寧に描かれる。 | 映像と音楽によって、アルゼンチンなどの美しい風景と共に物語が展開する。 |
| 登場人物の描写 | 親友ツタヤや元カノとの関係性が、より深く掘り下げられている。 | 悪魔のキャラクターがよりコミカルで、主人公との対比が際立つ。 |
| 結末のニュアンス | 静かで内省的な余韻を残す。手紙の内容が中心となる。 | 視覚的に感動を誘う演出が多く、よりドラマティックな印象。 |
特に主人公の心情の細やかな描写は、小説ならではの魅力です。ぜひ原作を読んで、物語の世界により深く浸ってみてください。
感想・テーマ解説:失うことで気づく「生きる」意味
『世界から猫が消えたなら』の最大のテーマは、「失うことで、初めてその価値に気づく」ということでしょう。電話、映画、時計…僕たちが当たり前のように享受しているモノには、必ず誰かとの思い出や感情が結びついています。本作は、モノを消すというファンタジーを通して、私たちの日常がいかに多くの「奇跡」と「愛おしさ」で満ちているかを教えてくれます。
また、主人公が最終的に自分の命と引き換えに「猫」を選んだことは、自己犠牲の物語というよりも、「何を守って生きたいか」という根源的な問いを投げかけています。彼が守りたかったのは、猫そのものだけでなく、猫と共にあった母親の思い出、そして自分が誰かを愛したという記憶そのものだったのかもしれません。
よくある質問(FAQ)
- Q. 結局、猫は消えるのですか?
- A. ネタバレになりますが、最終的に猫は消えません。主人公が猫を守るために、悪魔との契約を打ち切る選択をします。
- Q. 主人公は最後どうなるのですか?
- A. 主人公は自分の死を受け入れます。しかし、残された時間で大切な人たちに感謝を伝え、彼らの中に生き続けます。
- Q. 原作と映画はどっちから見るのがおすすめですか?
- A. どちらからでも楽しめますが、主人公の細やかな心の動きを深く味わいたいなら原作小説から、美しい映像と音楽で感動したいなら映画から入るのがおすすめです。両方見ることで、物語の魅力がさらに深まります。
原作小説『世界から猫が消えたなら』はコミックシーモアで!
今回ご紹介した『世界から猫が消えたなら』の原作小説は、国内最大級の電子書籍ストア「コミックシーモア」で配信中です。映画とは一味違う、文章だからこそ伝わる感動がここにあります。
- 作品名: 世界から猫が消えたなら
- 著者: 川村元気
- 配信状況: 1巻まで配信中
涙なしには読めない、けれど読み終えた後にはきっと、あなたの目に映る世界が少しだけ愛おしくなるはず。この機会にぜひ、原作小説を読んでみませんか?
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まとめ
『世界から猫が消えたなら』は、単なる余命宣告ものの物語ではありません。失うことの意味を通して、今ここにある日常の輝きや、人との繋がりの尊さを教えてくれる、珠玉の作品です。
もしあなたの世界から何かが一つ消えるとしたら、あなたは何を守りたいですか?
この記事を読んで少しでも興味が湧いた方は、ぜひコミックシーモアで原作小説を手に取ってみてください。きっと、あなたの心に残る一冊になります。


