【ご注意】この記事には、漫画『少女終末旅行』の重大なネタバレが含まれています。物語の結末に触れる内容もありますので、未読の方はご注意ください。
文明が崩壊し、すべてが終わってしまった世界。そんな静寂に包まれた終末の世界を、愛車のケッテンクラートに乗って旅する二人の少女、チトとユーリ。つくみず先生が描く『少女終末旅行』は、ただ絶望を描くのではなく、ほのぼのとした日常と、ふとした瞬間に心を打つ哲学的な問いかけが魅力の作品です。
この記事では、Web連載版の第1話から最終話(第42話)までのあらすじを追いながら、チトとユーリの旅の軌跡と物語の結末を詳しく解説していきます。アニメで彼女たちの旅に触れた方も、これから原作を読もうと考えている方も、ぜひ最後までご覧ください。
『少女終末旅行』の基本情報
まずは、作品の基本情報をおさらいしておきましょう。
- 作者: つくみず
- 連載媒体: くらげバンチ (2014年~2018年)
- 単行本: 全6巻 完結
- アニメ化: 2017年に放送 (全12話)
原作漫画はすでに完結しており、単行本全6巻で彼女たちの旅のすべてが描かれています。電子書籍なら、いつでもどこでも二人の旅路に寄り添うことができますよ。
配信状況まとめ:Web版と単行本版の違い
『少女終末旅行』は、新潮社のWeb漫画サイト「くらげバンチ」で連載されていました。Web版は全42話で完結しています。単行本は全6巻で、基本的なストーリーは同じですが、最終話の演出に一部違いがあることがファンの間で知られています。
物語の核心に触れる部分でもあるため、両方のバージョンを読み比べて、その違いがもたらす余韻を感じてみるのもおすすめです。
全話ネタバレ:チトとユーリの旅の軌跡
ここからは、物語の始まりから終わりまで、彼女たちの旅を時系列で振り返っていきます。
第1話〜第6話(序盤:ケッテンクラートでの生活と出会い)
物語は、雪に覆われた廃墟の中から始まります。冷静で知的なチトと、楽観的で食いしん坊なユーリ。対照的な二人が、唯一の移動手段であるケッテンクラートに乗り、あてもなく旅を続けます。食料や燃料を探し、古い建物を探索する日々。彼女たちの会話はどこか淡々としていますが、そのやり取りの中に、互いを深く信頼し、支え合っている様子が描かれます。この序盤では、終末世界の静けさと、その中で生きる二人の「日常」が丁寧に描写され、読者はゆっくりとこの独特な世界観に引き込まれていきます。
第7話〜第18話(中盤:上層へ/仲間と別れ)
旅を続ける二人は、地図製作者のカナザワや、潜水艦技師のイシイといった、他の生存者と出会います。彼らとの交流は短いものですが、チトとユーリの世界に新たな視点をもたらします。カナザワは「上」を目指す目的を、イシイは過去の技術への情熱を語ります。彼らとの出会いと別れを通じて、二人の旅にも「最上層を目指す」という漠然とした目標が生まれます。世界の広がりと、失われた文明の断片に触れることで、物語は少しずつ深みを増していきます。
第19話〜第30話(深まる世界観/謎の生物や技術)
旅の途中、二人は言葉を話す不思議な生き物「ヌコ」や、自律して動き続ける巨大な機械など、人知を超えた存在に遭遇します。巨大な図書館で過去の知識に触れ、チトは世界の成り立ちに思いを馳せますが、明確な答えは見つかりません。一方で、旅の厳しさも増していきます。ケッテンクラートが故障し、大切な荷物を捨てる決断を迫られる場面も。世界の謎が深まると同時に、二人の絆が試される出来事が続きます。
第31話〜第42話(終盤:最上層へ・結末)
ついに都市の最上層へとたどり着いたチトとユーリ。しかし、そこには希望に満ちた楽園があるわけではありませんでした。食料も燃料も尽きかけ、愛車ケッテンクラートさえも失ってしまいます。チトは、大切にしていた本や日記を燃やし、暖を取ります。失われていくもの、手放していくもの。すべてがなくなりゆく世界で、最後に残ったのはお互いの存在だけでした。
長い螺旋階段を登りきり、二人がたどり着いた世界のてっぺん。そこで彼女たちが見た光景とは……。物語は、明確な答えを示すのではなく、静かで、どこまでも広がる余韻を残して幕を閉じます。二人が最後に交わした言葉、そしてその表情が何を意味するのか。それは、読者一人ひとりの心の中に委ねられているのです。
アニメはどこまで?原作の続きを読もう
2017年に放送されたアニメ版は、原作ファンからも高い評価を受けました。アニメで描かれたのは、原作単行本の4巻あたりまでの内容です。つまり、カナザワやイシイとの出会いは描かれていますが、その後の旅の核心部分や、物語の結末は描かれていません。
「アニメの続きが気になる!」「チトとユーリの旅の終わりを見届けたい」という方は、ぜひ原作漫画を手に取ってみてください。5巻、6巻で描かれる終盤の展開は、より深く、静かに胸を打つ内容となっています。
『少女終末旅行』よくある質問(FAQ)
ここでは、作品に関するよくある質問にお答えします。
Q:最終回はどんな結末?ハッピーエンド?
A:『少女終末旅行』の結末は、単純なハッピーエンドやバッドエンドという言葉では表現できません。すべてを失いながらも、最後に二人がたどり着いた境地は、ある種の幸福感と穏やかさに満ちています。「絶望と仲良くする」というテーマの通り、読後に不思議な安らぎと考察の余地を与えてくれる、非常に美しいラストです。
Q:Web版と単行本版で最終回の内容が違うって本当?
A:はい、物語の結末自体は同じですが、最後のページの演出が異なっています。どちらが良いというわけではなく、それぞれが異なる余韻を残します。Web版で読んだ方も、ぜひ単行本版のラストを確認してみてください。新たな発見があるかもしれません。
まとめ:絶望と仲良くする、二人の旅路を最後まで見届けよう
『少女終末旅行』は、終末という絶望的な状況を舞台にしながらも、生きることのささやかな喜びや、人と人との繋がりのかけがえのなさを描いた傑作です。
チトとユーリの旅は、私たちに「幸せとは何か」「生きるとはどういうことか」を静かに問いかけてきます。彼女たちの旅の終わりを、そして最後にたどり着いた答えを、ぜひあなた自身の目で見届けてください。
全6巻と手に取りやすいボリュームなので、一気読みにもおすすめです。この静かで美しい物語の世界に、浸ってみてはいかがでしょうか。