刑務所の中にある、たった一つの美容室「あおぞら美容室」。そこで髪を切るのは、重い罪を背負って服役する女性受刑者・小松原葉留。訪れるのは、塀の外で暮らす一般のお客さんたちです。
静寂に包まれた空間で、ハサミの音だけが響く。そこでは一体どんな物語が紡がれるのでしょうか?
この記事では、桜井美奈先生(原作)、小日向まるこ先生(漫画)による『塀の中の美容室』の漫画版について、第1話から最終話までのあらすじを完全ネタバレで解説します。
「結末が気になる」「買う前にどんな話か知りたい」「ドラマと原作の違いは?」そんなあなたの疑問にすべてお答えします。
※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含みます。ご注意ください。
塀の中の美容室|作品の基本情報
まずは『塀の中の美容室』の基本情報をご紹介します。本作は、実話に着想を得て生まれた感動のヒューマンドラマです。
- タイトル:塀の中の美容室
- 漫画:小日向まるこ
- 原作:桜井美奈
- 出版社:小学館
- 掲載誌:ビッグコミックオリジナル増刊
- ジャンル:青年マンガ、ヒューマンドラマ、社会派
物語の舞台となるのは、女子刑務所の中に設置された「あおぞら美容室」。受刑者が美容師として働き、一般のお客さんを迎えるというユニークな設定が、多くの読者の心を掴んでいます。
静かで優しいタッチの作画が、物語の繊細な空気感と見事にマッチしています。原作小説とはまた違った魅力を、ぜひ漫画で味わってみてください。
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漫画版は何話まで?完結してる?
『塀の中の美容室』の漫画版は、単行本1巻で完結しています。
物語は全4話で構成されており、さらに単行本には「特別編」と「エピローグ」が描き下ろしで収録されています。各話が異なる人物の視点で描かれるオムニバス形式で、物語の核心に少しずつ迫っていきます。
- 第1話:芦原志穂
- 第2話:刑務官・菅生
- 第3話:鈴木公子
- 第4話(最終話):小松原奈津
- 特別編・エピローグ
1冊で物語が美しく完結するため、非常に読みやすい作品です。それぞれの視点から、主人公・葉留の人物像が多角的に浮かび上がってきます。
【ネタバレ】塀の中の美容室のあらすじを最終話まで解説
ここからは、各話のあらすじを詳しくご紹介します。物語の結末まで触れていきますので、ネタバレを避けたい方はご注意ください。
第1話:芦原志穂(週刊誌記者)の視点
物語は、週刊誌の記者・芦原志穂が「刑務所内の美容室」という異色のテーマを取材するため、「あおぞら美容室」を訪れるところから始まります。
志穂はジャーナリストとして、冷静な目でこの場所を観察します。美容師は、殺人という重い罪で服役中の小松原葉留。お客は塀の外から来る一般人。店内では私語が禁じられ、刑務官が常に監視しているという異様な空間です。
最初は取材対象として葉留を見ていた志穂。しかし、葉留の静かで丁寧な仕事ぶり、そして鏡越しに交わす最低限の会話の中で、彼女の心は少しずつ揺さぶられていきます。葉留は多くを語りませんが、その佇まいには不思議な説得力がありました。
髪を切ってもらった志穂は、ただ髪型が変わっただけでなく、心の中の何か重いものがそぎ落とされたような、不思議な感覚を覚えます。この出会いをきっかけに、読者は志穂と共に「あおぞら美容室」の謎と魅力に引き込まれていくのです。
第2話:刑務官・菅生の視点
第2話では、視点が刑務官の菅生に移ります。彼は「あおぞら美容室」の運営と葉留の監督を担当する人物です。
菅生の目を通して、刑務所という組織の内側と、この美容室が持つ「更生」への意義が描かれます。彼は、受刑者と社会をつなぐこのささやかな場所を、静かに見守り続けてきました。職務として厳格な態度を崩しませんが、その眼差しは温かく、葉留が社会復帰に向けて歩む一歩一歩を支えたいという思いが伝わってきます。
この章では、葉留が刑務所内でいかにして美容師資格を取得したのか、そして彼女の仕事が他の受刑者や職員にどう受け止められているのかが明らかになります。「あおぞら美容室」は、単なる職業訓練施設ではなく、罪を犯した者が再び社会と接点を持つための、希望の場所として機能しているのです。
第3話:鈴木公子(高齢の客)の視点
第3話の語り手は、美容室を訪れる客の一人、高齢の女性・鈴木公子です。彼女は人生の終盤に差し掛かり、心に整理のつかない孤独や後悔を抱えていました。
なぜ、わざわざ刑務所の中にある美容室へ足を運んだのか。その理由は、公子の過去と深く関わっていました。葉留に髪を切ってもらう静かな時間の中で、公子は誰にも話せなかった自身の人生をぽつりぽつりと振り返ります。
葉留はただ静かに耳を傾け、丁寧にハサミを動かすだけ。しかし、その行為が、公子の凝り固まった心を優しく解きほぐしていきます。カットが終わり、鏡に映る新しい自分を見た公子は、晴れやかな気持ちで美容室を後にします。人生の最後に、彼女は小さな希望と前を向く勇気を見つけたのでした。葉留の仕事が、人の心を「再生」させる力を持つことが象徴的に描かれるエピソードです。
第4話(最終話):小松原奈津(葉留の姉)の視点
最終話では、ついに葉留の家族である姉・奈津の視点から物語が語られます。
これまで謎に包まれていた葉留の過去、そして彼女が犯した罪の背景が、姉の口から明かされます。奈津は「加害者家族」として、世間からの非難や罪悪感に苛まれながら生きてきました。妹である葉留を許したい気持ちと、許せない気持ちの間で、長年苦しんできたのです。
奈津は、葉留が刑務所で美容師をしていることを知り、複雑な思いを抱えながらも面会に訪れます。そこで彼女が見たのは、ただひたむきに鏡の前に立ち、客と向き合う妹の姿でした。
葉留がなぜ美容師を続けるのか。その答えは、罪を償うためだけではありませんでした。それは、彼女なりの「再生」への渇望であり、失われた誰かの人生と向き合い続けるという、静かな誓いだったのです。
物語の結末は、劇的な和解や完全な赦しを描くわけではありません。しかし、姉妹の間には確かな変化が訪れます。長い冬が終わり、ようやく春の兆しが見えたような、静かで希望に満ちたラストが読者の胸に温かい余韻を残します。
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登場人物まとめ
『塀の中の美容室』の物語を彩る主要な登場人物を簡単にご紹介します。
小松原葉留(こまつばら はる)
本作の主人公。殺人罪で服役中の受刑者。刑務所内で美容師免許を取得し、「あおぞら美容室」で働いている。物静かで多くを語らないが、確かな技術と真摯な態度で客の心に寄り添う。
芦原志穂(あしはら しほ)
第1話の語り手。週刊誌の記者。刑務所内の美容室を取材するために訪れ、葉留と出会うことで自身の価値観を揺さぶられる。
菅生(すごう)
第2話の語り手。葉留が働く女子刑務所の刑務官。職務に忠実でありながら、受刑者たちの更生を心から願う温かい人物。
鈴木公子(すずき きみこ)
第3話の語り手。美容室を訪れる高齢の女性客。人生の孤独や後悔を抱えているが、葉留との出会いを通して心の平穏を取り戻す。
小松原奈津(こまつばら なつ)
第4話の語り手。葉留の姉。「加害者家族」として苦悩を抱えながら生きている。物語の核心に迫る重要な人物。
ドラマ化情報と原作漫画との違い
『塀の中の美容室』は、2025年にWOWOWにて連続ドラマ化されています。主演は実力派女優の奈緒さんが務め、その繊細な演技が話題を呼んでいます。
ドラマ版は、原作漫画や小説のエピソードをベースにしつつ、各登場人物の背景や刑務所の外での人間関係をより深く掘り下げています。
漫画版は全1巻でテンポよく物語が凝縮されているのに対し、ドラマ版は連続ドラマとして、キャラクターの心情の機微や物語の奥行きをじっくりと描いているのが特徴です。漫画を読んでからドラマを観ると、それぞれの表現の違いを楽しめるでしょう。
感想・考察|静かに描かれる「再生」と「赦し」の物語
『塀の中の美容室』は、派手な事件や劇的な展開があるわけではありません。しかし、静かな筆致で描かれる登場人物たちの心の動きが、深く胸に響く作品です。
小日向まるこ先生の鉛筆のような柔らかいタッチの作画は、この物語が持つ繊細で、どこか儚い空気感を見事に表現しています。
本作の大きなテーマは「再生」と「赦し」です。罪を犯した葉留自身の再生だけでなく、彼女と関わることで、客や家族たちの心もまた再生していく。直接的な言葉ではなく、髪を切るという行為を通して、静かな救済が描かれます。
加害者と被害者、そしてその家族という非常にデリケートな問題を扱いながらも、物語は決してどちらかを断罪しません。ただ、そこにある痛みと、それでも生きていこうとする人々の姿を真摯に見つめています。読後、きっとあなたの心にも温かい光が灯るはずです。
『塀の中の美容室』をお得に読む方法
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よくある質問(FAQ)
Q1. 漫画は何話までありますか?
A. 漫画版は単行本1巻で完結しており、全4話+特別編・エピローグが収録されています。
Q2. 主人公・葉留が犯した罪は何ですか?
A. 作中では「殺人」という重い罪を犯したとされています。しかし、被害者や加害者家族への配慮から、事件の具体的な詳細は意図的に詳しく描かれていません。物語の核心は事件そのものではなく、そこから生まれる人々の「再生」に置かれています。最終話で姉の視点から、その背景の一部が語られます。