【ネタバレ注意】
この記事は、小説『そして、バトンは渡された』の結末を含む、物語の核心に触れる内容を徹底的に解説しています。映画版やコミカライズ版との違いにも言及しているため、未読の方はご注意ください。
2019年に本屋大賞を受賞し、多くの読者の心を震わせた瀬尾まいこ先生の傑作『そして、バトンは渡された』。血の繋がらない親たちの間をリレーされながらも、たっぷりの愛情を受けて育った主人公・優子の物語は、私たちに「家族とは何か」を問いかけます。
この記事では、原作小説のあらすじから衝撃の結末までを時系列で完全にネタバレ解説。さらに、映画版との違いや、コミックシーモアで読めるコミカライズ版の情報もあわせてご紹介します。「結末が気になって仕方ない」「映画と原作の違いを知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
『そして、バトンは渡された』作品基本情報
まずは、本作の基本情報をおさらいしておきましょう。
- 原作著者:瀬尾まいこ
- 原作刊行日:2018年2月(単行本)、2020年9月(文庫版)
- 主な受賞歴:2019年 本屋大賞受賞
- 映画公開日:2021年10月29日
- コミカライズ作画:田川とまた
- コミカライズ配信開始日:2021年10月19日
実写映画化もされ、原作の感動がさらに多くの人々に広がりました。物語の感動を違った角度から楽しめるコミカライズ版も必見です。
【ネタバレ警告】ここから物語の核心に触れます
準備はよろしいでしょうか?ここからは、物語の結末までを含む詳細なあらすじを時系列で解説していきます。優子の複雑な家庭環境と、その裏に隠された親たちの深い愛情の物語を、一緒に辿っていきましょう。
時系列で追う『そして、バトンは渡された』完全ネタバレ
主人公・森宮優子は、これまでの17年間で3回も苗字が変わりました。「水戸」から「田中」へ、そして「泉ヶ原」を経て、現在の「森宮」へ。彼女の物語は、普通とは少し違う家族の形から始まります。
幼年期〜小学校時代:最初のバトン
優子の物語は、物心ついたときから始まります。実の母を幼い頃に亡くした優子は、実の父である水戸さんと暮らしていました。しかし、水戸さんがブラジルに転勤することになり、優子は新しい母親となる梨花、そしてその夫である泉ヶ原さんと暮らすことになります。
自由奔放で底抜けに明るい梨花は、優子にたくさんの愛情を注ぎます。しかし、その生活も長くは続かず、梨花は資産家の泉ヶ原さんと離婚。優子を連れて、新たな生活をスタートさせます。
中学〜高校時代:森宮さんとの出会い
梨花は、東大卒のエリートである森宮さんと再婚します。こうして優子の苗字は「森宮」となり、物静かで愛情表現が少し不器用な森宮さんが、新しい父親となりました。
しかしある日、梨花は突然「ブラジルに行く」と言い残し、優子と森宮の前から姿を消してしまいます。ここから、血の繋がらない父・森宮さんと、娘・優子の二人暮らしが始まります。森宮さんは、不器用ながらも全力で優子に愛情を注ぎ、優子もまた、そんな森宮さんを本当の父親のように慕い、穏やかな日々を過ごします。
高校生活では、ピアノが得意な同級生・早瀬くんとの出会いもあり、淡い恋模様も描かれます。数奇な運命を辿りながらも、優子は周囲の愛情に包まれ、まっすぐに成長していくのです。
高校卒業〜社会人:自分の足で歩き出す時
高校を卒業した優子は、自分の将来を考え始めます。料理が得意な森宮さんの影響もあり、栄養士の道を目指すことを決意。そして、高校の同級生だった早瀬くんと再会し、結婚を意識するようになります。
「次に苗字が変わる時は、自分の意思で変えるんだ」。そう決意した優子。彼女の結婚が決まった時、物語は最大のクライマックスを迎えます。今まで明かされなかった親たちの秘密が、ついに明らかになるのです。
最終盤のネタバレ:梨花の真実と、渡されたバトンの意味
物語の終盤、優子の結婚式を前にして、森宮さんはすべての真実を語り始めます。
実は、優子の実の母親は生きていました。その人物こそ、自由奔放な継母だった梨花だったのです。そして、最初の父親・水戸さんは、梨花の最初の夫でした。水戸さんと離婚した梨花は、女手一つで優子を育てることに限界を感じ、裕福な泉ヶ原さんと再婚。優子に不自由のない暮らしをさせるためでした。
しかし、梨花は重い病を患っていました。自分の死期が近いことを悟った梨花は、優子の未来を託せる最後の相手として、森宮さんを選んだのです。森宮さんに優子を託し、姿を消したのは、自分が亡くなる姿を優子に見せたくなかったからでした。
梨花から優子という「バトン」を受け取った森宮さんは、その約束を命がけで守り抜きました。これまでバラバラに見えた親たちの行動は、すべてが優子の幸せを願う深い愛情から生まれたものだったのです。
この衝撃の真実を知った時、タイトルの『そして、バトンは渡された』が持つ本当の意味が、温かい涙とともに心に流れ込んできます。親たちが繋いできた愛情のバトンは、確かに優子へと渡され、彼女の未来を明るく照らしていくのでした。
映画版と原作小説の主な違い
大ヒットした映画版も素晴らしい作品ですが、原作とはいくつかの違いがあります。物語の感動をより深く味わうために、主な相違点をチェックしておきましょう。
- 物語の構成:原作は優子視点で時系列に沿って進みますが、映画版は現在の優子の物語と、過去の梨花の物語が交互に描かれる構成になっています。
- キャラクター設定:映画版では、森宮さんが作る料理がより印象的に描かれたり、同級生・早瀬くんのキャラクターがより掘り下げられたりするなど、一部キャラクターの描写が変更・追加されています。
- クライマックス:映画版では、結婚式のピアノ演奏シーンが大きな見せ場として描かれ、原作とは異なる感動的なクライマックスを迎えます。
どちらもそれぞれの魅力がありますが、原作を読むことで、登場人物たちの細やかな心情や、映画では描ききれなかったエピソードを知ることができます。
コミカライズ版はコミックシーモアで読める!
「原作小説を読むのは少し時間が…」という方には、コミカライズ版がおすすめです。田川とまた先生の温かい絵柄で、優子たちの物語が生き生きと描かれています。
コミカライズ版は、電子書籍サイト「コミックシーモア」で配信中です。原作の感動的なストーリーを、漫画ならではの表現で手軽に楽しむことができます。映画や小説とはまた違った魅力を、ぜひ体験してみてください。
コミックシーモアなら、無料の試し読みも可能です。まずは気軽にページをめくって、この物語の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
考察・伏線回収:この物語が伝えるテーマ
本作の最大のテーマは、「血の繋がりだけが家族ではない」ということです。優子は、実の親ではない梨花や森宮さんから、誰よりも深い愛情を受けて育ちました。
一見すると自分勝手に見えた梨花の行動も、すべては娘・優子の幸せを願ってのことでした。彼女がついていた「優しい嘘」の数々が、物語の終盤で見事な伏線として回収されていく展開は圧巻です。
また、森宮さんの不器用ながらも誠実な愛情は、理想の父親像とは何かを考えさせてくれます。親たちが命をかけて繋いだ「愛情のバトン」。その重みと温かさこそが、この物語の核となっています。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 継母の梨花は、なぜ優子の前から姿を消したのですか?
- A1. 梨花は重い病を患っており、自分の死期を悟っていました。最愛の娘である優子に悲しい思いをさせたくない、そして優子の未来を信頼できる森宮さんに託すため、自ら姿を消すという選択をしました。
- Q2. 森宮さんの秘密とは何ですか?
- A2. 森宮さんは、梨花から「優子の父親になってほしい」というバトンを託されていました。梨花が優子の実の母親であること、そして彼女が病と闘っていたことを知りながら、そのすべてを胸に秘めて優子を育てていたことが、彼の最大の秘密です。
- Q3. 結局、優子は幸せになれたのでしょうか?
- A3. はい。優子はたくさんの親から愛情というバトンを受け取り、自分の意思で未来を選び取ります。物語の結末は、彼女がこれまでの人生をすべて肯定し、幸せな未来へと歩み出す、希望に満ちたものとなっています。
まとめ:すべての愛を受け取って、未来へ
『そして、バトンは渡された』は、複雑な家庭環境の中で育った少女が、たくさんの愛情に支えられて幸せを掴む、感動の物語です。読み進めるうちに散りばめられた伏線が、ラストで一気に回収される爽快感と、明らかになる真実の温かさに、きっと誰もが涙するでしょう。
映画を観て感動した方も、原作小説やコミカライズ版を読むことで、さらに深く物語の世界に浸ることができます。特に、登場人物たちの細やかな心の動きは、活字や漫画でじっくりと味わうのがおすすめです。
血の繋がりを超えた家族の愛の物語を、あなたもぜひ体感してみてください。

