2025年、待望のアニメ化を経て再び大きな注目を集めている『タコピーの原罪』。タイザン5先生が描くこの物語は、単なる「いじめ」や「鬱展開」にとどまらない、深い人間ドラマが魅力です。
中でも読者の心を強く揺さぶったのが、優等生でありながら深い闇を抱えていた東直樹(東くん)の存在ではないでしょうか。
「東くんは最後どうなったの?」
「あの結末はハッピーエンドなの? それとも……」
そんな疑問を持つ方に向けて、本記事ではネタバレ全開で東くんの最後と、その選択が持つ意味を徹底解説します。2025年12月現在のアニメ視聴情報もあわせてご紹介しますので、作品をより深く味わいたい方はぜひ最後までお付き合いください。
※これより先は漫画『タコピーの原罪』およびアニメ版の結末に関する重大なネタバレを含みます。未読・未視聴の方はご注意ください。
東くん(東直樹)とは? 歪んだ家庭環境と孤独
物語の結末を理解するために、まずは東くんが置かれていた状況を整理しましょう。
東直樹は、クラスでも一目置かれる成績優秀な優等生です。しかし、その実態は母親からの過度なプレッシャーと、何でも完璧にこなす兄への強烈な劣等感に苛まれる少年でした。
兄との比較、母親との距離
「兄ちゃんみたいにならなきゃ」
この強迫観念が、東くんの行動原理のすべてでした。彼はしずかちゃんに優しく接しますが、それは純粋な善意だけではありません。「可哀想な子を助ける自分」という役割を演じることで、自身の存在価値を保とうとしていた側面があります。
しずかちゃんという「守るべき対象」を見つけたことで、彼は一時的に家庭のストレスから目を逸らすことができました。しかし、それが彼をさらなる泥沼へと引きずり込んでいくことになります。
物語中盤〜終盤で東くんは何をしたか
タコピーという異質な存在が介入する前の時間軸(および介入後の失敗した時間軸)では、東くんはしずかちゃんを救おうとして、取り返しのつかない一線を越えてしまいます。
タコピー介入前後での行動の変化
物語中盤、いじめの主犯格であるまりなちゃんとの対立が激化する中で、東くんは衝動的に暴力を振るい、殺害に関与してしまいます(あるいは死体遺棄に協力します)。
「僕がなんとかしなきゃ」という正義感は、いつしか「二人だけの秘密の共有」という歪んだ絆へと変質しました。しずかちゃんはいわゆる“魔性の女”として描かれることがありますが、彼女自身に悪意はなく、無自覚に周囲の人間(特に東くん)を破滅的な行動へと駆り立ててしまうのです。
タコピーの道具を使った現実逃避、東京への逃避行……。それら全てが失敗に終わり、東くんは絶望の淵に立たされます。
東くんの“最後”──結末の事実と解釈
ここからが本題です。最終的に東くんはどうなったのでしょうか。
結論から言うと、「東くんは、しずかちゃんを見て見ぬふりをする」という選択をして物語は幕を閉じます。
タコピーが自身の存在を犠牲にして世界を「2016年の入学式」まで巻き戻した後(ハッピー星人不在の世界)、東くんとしずかちゃん、まりなちゃんは再び同じクラスになります。
しかし、そこで東くんは以前のようにしずかちゃんに声をかけたり、いじめから庇ったりはしませんでした。彼はクラスメートと談笑し、孤立するしずかちゃんを横目に見ながら、関わりを持たない道を選んだのです。
なぜ「見て見ぬふり」を選んだのか?
一見すると、これは「冷たい結末」「バッドエンド」のように思えるかもしれません。しかし、作品全体を通してみると、これは東くんにとっての「救済」であると解釈できます。
タコピーがいた時間軸では、東くんはしずかちゃんに関わることで犯罪に手を染め、精神を病み、人生を破綻させました。しずかちゃんを助けようとする行為そのものが、彼自身を追い詰め、結果として誰も幸せになれなかったのです。
リセットされた世界で彼が選んだ「関わらない」という選択は、言い換えれば「普通の小学生としての日常を手に入れた」ことを意味します。
家庭の問題は解決していないかもしれません。それでも、殺人を犯したり、逃避行の末に心中を考えたりする未来は回避されました。この「平凡で少し残酷な選択」こそが、リアリティのある落としどころだったと言えるでしょう。
詳しくは、以下の記事でも全話を通じたネタバレ解説を行っています。東くん以外の視点からも物語を深掘りしたい方はぜひ併せてご覧ください。
東くんに注目して読むと面白いポイント
結末を知った上で原作を読み返すと、東くんの苦悩がより鮮明に見えてきます。
- 「兄ちゃん」という呪縛: 彼の部屋にある参考書や、母親の何気ない一言に対する東くんの表情の変化に注目してください。
- 小さなSOS: 彼は常に誰かに認めてほしかった。しずかちゃんに執着したのは、彼女だけが自分を「すごい」と肯定してくれたからかもしれません。
原作漫画では、こうした心理描写が非常に緻密に描かれています。まだ電子書籍で全巻揃えていない方は、ぜひこの機会に一気読みをおすすめします。
アニメ版(2025年)での東くん描写の変化
2025年夏に配信されたアニメ版では、映像ならではの演出が東くんの悲哀を際立たせていました。
特に話題になったのが、OPと本編の温度差です。anoさんが歌うOPテーマ「ハッピーラッキーチャッピー」のポップで明るい曲調とは裏腹に、本編の映像は彩度が低く、東くんの瞳に光がない描写が多用されています。
また、TeleさんによるED「がらすの線」が流れるタイミングも絶妙で、東くんが選択を迫られるシーンでの切なさを倍増させていました。
アニメ版をまだ見ていない、あるいはもう一度見返したいという方は、配信サービスでの視聴が可能です。DMM TVなら30日間の無料体験も利用できます。
まとめ:東くんの結末が作品全体で持つ意味
『タコピーの原罪』における東くんの最後は、決して派手なハッピーエンドではありませんでした。
しかし、タコピーの介入によって「いじめを見て見ぬふりをする」という、ある種もっとも人間らしく、そして安全な選択肢を彼は手に入れました。それは「成長の機会」を残されたということでもあります。
魔法道具で無理やり解決するのではなく、痛みや矛盾を抱えながらも生きていく。東くんのラストは、そんな現実的なメッセージを読者に投げかけているのです。
主題歌を聴きながら、改めてこの物語の深さに浸ってみてはいかがでしょうか。
