「あんたの遺骨は、あたしが連れてく。」
平庫ワカ先生が描く、魂を揺さぶる衝撃作『マイ・ブロークン・マリコ』。たった一人の親友の突然の死をきっかけに、主人公シイノがその遺骨を奪い、二人だけの最後の旅に出る物語です。
その壮絶で、どこまでも優しい物語は多くの読者の心を掴み、2022年には実写映画化もされました。
この記事では、原作漫画『マイ・ブロークン・マリコ』の第1話から衝撃の結末まで、物語の核心に触れるネタバレを徹底解説します。映画を観て原作が気になっている方、結末を知った上でもう一度深く味わいたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は作品の結末に関する重大なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
『マイ・ブロークン・マリコ』作品基本情報
まずは、本作の基本的な情報をおさらいしておきましょう。
- 作者: 平庫ワカ
- 出版社: KADOKAWA (BRIDGE COMICS)
- 単行本: 全1巻 完結
- 配信状況: コミックシーモアでは単行本(全1巻)と分冊版(全9話)が配信中です。分冊版の8話・9話には、作者のデビュー作である短編『YISKA ―イーサカ―』が収録されています。
物語を彩る主要登場人物
- シイノ トモヨ
本作の主人公。ブラック企業に勤めるやさぐれたOL。学生時代からの親友マリコを唯一の理解者とし、深く愛している。マリコの死をきっかけに、常識外れの行動に出ます。 - イカガワ マリコ
シイノの親友。幼少期から実の父親に虐待され続け、心に深い傷を負っています。物語開始時点ですでに亡くなっており、シイノの回想や遺した手紙を通してその人物像が描かれます。 - マキオ
シイノが旅の途中で出会う青年。ひったくりに遭い途方に暮れていたシイノを助け、彼女の旅に束の間の安らぎを与えます。映画版では窪田正孝さんが演じました。 - マリコの父
マリコを長年にわたり虐待してきた元凶。娘の死後も反省の色を見せず、その遺骨をぞんざいに扱います。
【ネタバレ】第1話から結末までのあらすじを徹底解説
ここからは、物語の核心に迫るあらすじを時系列で解説していきます。シイノとマリコ、二人の魂の旅路を追体験しましょう。
第1話:ニュース速報と骨になった親友
物語は、主人公シイノが会社の昼休憩に立ち寄った中華料理屋で、テレビのニュース速報を目にするところから始まります。「女性がマンションから転落死」――その名前は、長年連絡が取れずにいた親友、イカガワ・マリコでした。
突然の死に動揺し、悲しみに暮れるシイノ。彼女は、マリコの遺骨が虐待の元凶である父親の手に渡ることを知ります。「あんな奴のところにいたら、マリコは死んでも休めない」。強い怒りと衝動に駆られたシイノは、包丁を手にマリコの実家へ乗り込み、父親から骨壺を強奪するという暴挙に出るのでした。
中盤:遺骨と二人旅、マリガオカ岬へ
「マリコが行きたがってた海、見せてやるからな」。シイノはマリコの遺骨を抱え、彼女が生前行きたがっていた「マリガオカの岬」を目指す旅に出ます。
しかし、その道中は決して平坦ではありません。バスでひったくりに遭い、無一文になりながらも、遺骨だけは必死で守り抜きます。絶望の淵で彼女を救ったのが、偶然出会った青年マキオでした。
彼の助けを借りながら旅を続ける中で、シイノの脳裏にはマリコとの過去が次々と蘇ります。虐待の傷、男からの暴力、そしてシイノだけに見せた笑顔…。楽しかった思い出と、救えなかった後悔が、シイノの心を激しく揺さぶります。
クライマックス:壊れた魂の行方
ついに目的地のマリガオカ岬にたどり着いたシイノ。断崖絶壁に立ち、マリコの骨壺を抱きしめながら、彼女は後を追うように自らも身を投げようとします。
しかし、その瞬間、ある出来事が彼女を引き止めます。それは、マリコが生きていたら見過ごさなかったであろう光景でした。咄嗟に他者を守ろうとするその行動は、皮肉にもシイノ自身の命を救うことになります。
この出来事を通して、シイノはマリコの死をどう受け止め、そして自分はどう生きていくべきか、ひとつの答えを見つけ出します。それは、悲しみを乗り越えるという単純なものではなく、“壊れてしまった親友”の魂と共に生き続けるという、痛みを伴う決意でした。
物語の結末とテーマ|残された者の再生
本作の結末は、明確なハッピーエンドではありません。マリコが生き返ることはなく、シイノが負った心の傷が完全に癒えることもないでしょう。
しかし、旅の終わりでシイノが見つけるマリコからの最後の手紙。そこに綴られた言葉が、彼女の旅にどのような意味を与えたのか…。そのラストシーンは、読者の想像に委ねられています。
『マイ・ブロークン・マリコ』は、「救えなかった親友」への鎮魂(レクイエム)であると同時に、「残された者」がいかにして再生していくかを描いた物語です。絶望の淵から、一筋の光を見出すシイノの姿は、読む者の胸に深く突き刺さります。
映画版との違いは?原作を読むべき理由
2022年に公開された永野芽郁さん主演の実写映画も高く評価されましたが、原作漫画にはまた違った魅力があります。
映画では描ききれなかったシイノのより繊細なモノローグや、マリコの過去に関するエピソードが、原作では丁寧に描かれています。特に、二人の少女時代の絆の深さがわかる回想シーンは必見です。映画を観て感動した方こそ、原作を読むことで物語の解像度が格段に上がり、より深く二人の世界に没入できるはずです。
『マイ・ブロークン・マリコ』をお得に読むならコミックシーモア!
今回ご紹介した『マイ・ブロークン・マリコ』は、電子書籍ストア「コミックシーモア」で読むことができます。
単行本(全1巻)と、少しずつ読める分冊版(全9話)の両方が配信中。今なら無料の試し読みも可能です。シイノとマリコの魂の旅を、ぜひあなたの目で見届けてください。
※分冊版はこちらから:分冊版ページへ
よくある質問(Q&A)
- Q1:漫画は何巻で完結していますか?
- A1:単行本は全1巻で完結しています。サクッと読めますが、内容は非常に濃密です。
- Q2:映画はいつ公開されましたか?
- A2:2022年9月30日に公開されました。監督はタナダユキ、主演は永野芽郁さんが務めました。
- Q3:続編の予定はありますか?
- A3:2025年9月現在、続編の公式な発表はありません。物語は1巻で美しく完結しています。
まとめ:魂の慟哭と再生の物語をその目に
『マイ・ブロークン・マリコ』は、友情、喪失、そして暴力という重いテーマを扱いながらも、読後に確かな希望を感じさせる傑作です。
シイノがマリコのために起こした、あまりにも無謀で、あまりにもまっすぐな行動。その旅の結末を、ぜひ原作漫画で見届けてください。ネタバレを知ってから読むことで、キャラクターの表情やセリフ一つ一つの意味が、より深く心に響くはずです。