国民的アニメ『名探偵コナン』の劇場版シリーズ第13作目として、今なおファンから高い評価を受け続ける名作『漆黒の追跡者(チェイサー)』。2026年2月現在も、黒の組織との対決を描いた映画として本作を見返すファンは後を絶ちません。
この映画のキーパーソンとなるのが、組織のメンバーである「アイリッシュ」です。
高い戦闘能力と洞察力を持ち、コナンの正体(工藤新一であること)にまでたどり着いた彼ですが、なぜ最後にあのような悲劇的な結末を迎えなければならなかったのでしょうか?
本記事では、アイリッシュが殺された理由を深掘りしつつ、彼が慕っていた「ピスコ」との因縁や、組織内での複雑な人間関係について徹底解説します。久しぶりに漫画や映画を見返したくなるような、作品の奥深さをお届けします。
結論:なぜアイリッシュは殺されたのか
結論から言うと、アイリッシュが殺された理由は「ジンによる口封じ」と「情報漏洩リスクの完全排除」です。
劇中のクライマックス、東都タワーでの出来事を整理すると、主な直接的要因は以下の2点に集約されます。
- 警察に包囲され、逃走が困難と判断されたため
アイリッシュは警察官に変装して捜査本部に潜入していましたが、その正体が露見し、多数の警官隊に包囲されていました。組織の存在を隠し通すため、捕縛されるリスクのあるメンバーをジンは切り捨てました。 - メモリーカード(NOCリスト)の回収を確実にするため
アイリッシュが所持していたメモリーカードには、組織に潜入しているスパイ(NOC)のリストが入っていました。ジンはこのカードが警察の手に渡ることを何としても防ぐ必要があり、アイリッシュごと狙撃してカードを破壊(および回収不能に)する選択を取りました。
しかし、単なる任務失敗への制裁だけではありません。そこには、アイリッシュとジンの個人的な確執も大きく関わっています。
殺害に至るまでの時系列【東都タワーの惨劇】
映画『漆黒の追跡者』のクライマックス、東都タワーでの緊迫した展開を時系列で振り返ります。なぜあのタイミングで撃たれたのか、流れを追うとジンの冷酷さが際立ちます。
1. メモリーカードの奪取と正体の露見
アイリッシュは神奈川県警の管理官に変装し、捜査会議に潜入していました。犯人から組織の重要データが入ったメモリーカードを奪い返すことには成功しますが、コナンや警察に正体を見破られます。
2. 東都タワーでのコナンとの対峙
タワーの展望台でコナンを追い詰めるアイリッシュ。彼はコナンの正体が工藤新一であることを掴んでいましたが、あえて組織(ジン)には報告していませんでした。ここで彼はコナンを捕らえ、ジンを失脚させるための「証人」として利用しようと画策します。
3. ジンの到着と狙撃
コナンを追い詰めたその時、上空にジンの乗るヘリコプターが現れます。アイリッシュはメモリーカードを見せて任務完了をアピールしますが、キャンティによる狙撃弾がアイリッシュの胸を貫きました。
4. 最期の瞬間
「なぜだ!?」と驚愕するアイリッシュに対し、ジンは冷たく言い放ちます。
「言ったはずだぜアイリッシュ…任務に失敗した者に用はねぇとな…」
その後、アイリッシュは自らの身を挺してコナンを銃弾から守り、息絶えます。彼が最期に残した「工藤新一…いつまでも追い続けるがいい…」という言葉は、敵でありながらコナンに希望を託した名シーンとして語り継がれています。
なぜジンはアイリッシュを撃ったのか(動機の整理)
表向きの理由は「警察に囲まれたから」ですが、ジンがアイリッシュを躊躇なく撃った背景には、組織内の派閥争いとも言える不穏な空気がありました。
アイリッシュの反逆心
アイリッシュは、かつて組織のメンバーであった「ピスコ」を父のように慕っていました。そのピスコを殺害したのは他でもないジンです。
アイリッシュはジンを激しく憎んでおり、今回の任務を通じて「コナンの正体(=ジンのミス)」を暴き、ジンをボス(あの方)の前で失脚させようと目論んでいました。
ジンの察知能力
ジンは非常に勘の鋭い男です。アイリッシュが自分に対して反抗的な感情を抱いていること、そして何かを企んでいることを薄々感づいていた可能性があります。
組織にとって有益なメンバーであっても、自分に牙をむく可能性のある因子は早めに排除する。それがジンの流儀であり、黒の組織が長年存続している理由の一つとも言えるでしょう。
黒の組織の冷酷さや、他のメンバーについては以下の記事でも詳しく解説しています。
名探偵コナン ネタバレまとめ|第1話〜最新(107巻配信中)までのあらすじと重要事件
ピスコとの関係 — 過去エピソードとの繋がり
アイリッシュを語る上で欠かせないのが、コードネーム「ピスコ」の存在です。
ピスコ(本名:枡山憲三)が登場したのは、テレビアニメ第176〜178話『黒の組織との再会』です。彼は大手自動車メーカーの会長という表の顔を持つ組織の古参幹部で、あの方(ボス)に長年仕えてきた重鎮でした。
- ピスコの最期
灰原哀(シェリー)の抹殺任務中に、カメラマンに殺害現場を撮られてしまうというミスを犯しました。ボスはその失態を許さず、ジンの手によってピスコは射殺されます。 - アイリッシュの想い
映画内でアイリッシュは「お前が殺したピスコを、私は親父のように慕っていた」と語ります。組織の中では珍しい、情による繋がりがあったことが分かります。
この過去のエピソードを知っていると、『漆黒の追跡者』でのアイリッシュの行動原理(なぜコナンをすぐに殺さず、生かして連れて行こうとしたのか)がより深く理解できます。彼はコナンを利用して、亡きピスコの無念を晴らそうとしたのです。
もしアイリッシュが生きていたら?
ファンの間ではよく「もしアイリッシュが生きていたら、物語はどうなっていたか?」というIF(もしも)の話題が上がります。
彼はコナンの正体が工藤新一であることを完全に把握していました。そして、死の間際にはコナンを庇い、組織を倒すことを彼に託しています。もし彼が生き延びていたなら、組織内部の事情を知る強力な「協力者」あるいは「ダークヒーロー」的な立ち位置になっていたかもしれません。
しかし、工藤新一の生存を知る者が組織内に残ることは、物語の根幹を揺るがす事態です。メタ的な視点で見れば、原作の連載が続く以上、「正体を知った組織の人間は退場しなければならない」という運命にあったとも言えます。
映画『漆黒の追跡者』の見どころ
アイリッシュの悲劇的な結末以外にも、この映画には見どころが満載です。
特に注目したいのは、アイリッシュ自身の戦闘能力の高さです。変装術に長けているだけでなく、近接格闘では蘭ねーちゃんとも互角以上に渡り合い、コナンを圧倒しました。劇場版オリジナルの組織メンバーの中でも、屈指の実力者と言えるでしょう。
また、舞台となった東都タワー(東京タワーがモデル)でのヘリコプター掃射シーンは圧巻です。組織が日本の中心でこれほど派手なドンパチを行うのは異例であり、そのスケール感は劇場版ならではの醍醐味です。
映画内でアイリッシュが潜入していた神奈川県警については、こちらの記事も併せてご覧ください。
名探偵コナン 神奈川県警 完全ガイド|メンバー一覧・初登場回(アニメ/漫画)と映画での注目ポイント
よくある疑問(FAQ)
最後に、アイリッシュや映画に関するよくある疑問をまとめました。
- Q. アイリッシュの本名や声優は?
- アイリッシュの本名は劇中では明かされていません。声優はゲスト声優ではなく、実力派のお笑い芸人・ドランクドラゴンの塚地武雅さんが担当しました(変装時は幹本雄之さん)。その演技力の高さは当時大きな話題となりました。
- Q. メモリーカードの中身はどうなった?
- ジンの狙撃によりアイリッシュと共にメモリーカードも銃撃され、破壊されました。これにより組織のNOCリスト流出は阻止されましたが、コナンが持ち帰ることもできませんでした。
- Q. アイリッシュは原作漫画にも登場する?
- アイリッシュは劇場版『漆黒の追跡者』のオリジナルキャラクターであり、原作漫画には登場しません。しかし、彼の存在が示した「組織内部の不和」や「NOCリストの存在」は、その後の原作(キールやバーボン編)の緊張感に通じるものがあります。
まとめ
アイリッシュが殺された理由は、「警察包囲による逃走困難」と「情報漏洩(NOCリスト)の阻止」という組織防衛のため、そして「ピスコの件に端を発するジンとの確執」が背景にありました。
彼は悪役でありながら、組織への忠誠心よりも「個人の情」や「意地」を見せた人間味あふれるキャラクターでした。最期にコナンに見せた表情は、多くのファンの心に残っています。
『名探偵コナン』の世界は、こうした魅力的なキャラクターたちのドラマで成り立っています。映画で気になったポイントがあれば、ぜひ原作漫画やアニメの関連エピソードもチェックしてみてください。過去の伏線が現在の連載にどう繋がっているのか、新たな発見があるはずです。
警察組織の動きや、他の事件との関連を知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
