歴史の教科書には載らない、感情と血の通った「真実」がここにはあります。
『あさひなぐ』のこざき亜衣先生が描く、美しくも残酷な16世紀イングランドの宮廷ドラマ『セシルの女王』。ビッグコミックオリジナルでの連載も佳境に入り、その勢いは止まるところを知りません。
本記事では、2026年2月現在の最新情報に基づき、第1話から最新話(第80話)までの物語の流れを時系列で解説します。史実という「最大のネタバレ」をご存知の方でも、この漫画が描く人間ドラマには必ず胸を打たれるはずです。
まだ読んでいない方は、ここであらすじを予習して、ぜひ本編の圧倒的な筆致に触れてみてください。
最新話の配信状況と単行本情報
まずは、連載の現在地を確認しておきましょう。
2026年2月現在、公式連載では「第80話 悪魔の棲む土地」(2026年2月5日配信)まで公開されています。
また、単行本派の方に朗報です。既刊9巻に続き、待望の第10巻が2026年2月27日に発売予定となっています。ヘンリー8世の晩年からエドワード即位へ、物語が大きく動くターニングポイントとなる巻ですので、予約やチェックをお忘れなく。
セシルの女王の世界観と時代背景
物語の舞台は16世紀のイングランド、テューダー朝。絶対君主ヘンリー8世が支配する、血と狂騒の時代です。
主人公は、後に「女王エリザベス1世」の右腕として国を導くことになる若き才人、ウィリアム・セシル。しかし物語開始時点の彼は、まだ何者でもない12歳の少年に過ぎません。
カトリックとプロテスタントの宗教対立、世継ぎ(男子)を求める王の焦り、そして昨日までの忠臣が今日は処刑台に送られる理不尽な宮廷政治。この混沌の中で、ウィル(セシル)がいかにして生き残り、エリザベスという希望を見出していくかが描かれます。
主要登場人物早見表
複雑な人間関係を整理するため、物語の鍵を握る主要キャラクターをまとめました。
ウィリアム・セシル(ウィル)
本作の主人公。衣服や身なりに無頓着だが、並外れた知性と観察眼を持つ。アン・ブーリンとの出会いを機に、彼女の娘エリザベスを女王にすることを生涯の目標とする。
エリザベス
後のエリザベス1世。母アン・ブーリンの処刑により「庶子」の身分に落とされるが、類稀なる聡明さとカリスマ性を秘めている。セシルがすべてを懸ける君主。
ヘンリー8世
イングランド王。強大なカリスマを持つが、気性が激しく残虐。世継ぎの男子を求め、次々と王妃を替えていく物語の元凶にして絶対的権力者。
アン・ブーリン
ヘンリー8世の2番目の王妃であり、エリザベスの母。激しい気性と野心を持つが、冤罪によりロンドン塔で処刑される。セシルの運命を変えた人物。
トマス・クロムウェル
王の側近であり、冷徹な実務家。セシルにとって政治の師であり、超えるべき壁、あるいは反面教師のような存在。
エドワード
ヘンリー8世待望の嫡男。幼くして王位を継ぐが、その周囲ではサマセット公ら大人たちの権力争いが渦巻く。
【時系列】第1話〜最新話までのネタバレあらすじ
ここからは物語の流れを大きな章ごとに分けて解説します。ウィリアム・セシルの成長と共に進む、壮大な歴史絵巻をご覧ください。
序章:アン・ブーリンとの誓い(第1話〜)
物語は1533年、12歳のウィリアム・セシルが父に連れられて初めて宮廷に足を踏み入れるところから始まります。
そこで彼が目にしたのは、煌びやかな舞踏会ではなく、王の機嫌一つで人の命が左右される「伏魔殿」でした。ウィルはそこで、当時絶大な権力を誇っていた王妃アン・ブーリンと出会います。彼女は世継ぎを妊娠していましたが、周囲は敵だらけ。
夜の宮廷で、ウィルはアンの孤独と覚悟に触れます。アンはお腹の子(後のエリザベス)のために戦っていました。ウィルは彼女に対し、胎内の子に生涯仕えることを誓います。これがすべての始まりでした。
王妃交代とセシルの覚醒
アン・ブーリンが産んだのは、王が望んだ男児ではなく女児(エリザベス)でした。王の寵愛は急速に冷め、侍女ジェーン・シーモアへと移ります。
無実の罪を着せられ、処刑台へと送られるアン。その最期を目撃したウィルは、感情を殺し、理性を武器に生き抜く「政治家」としての覚悟を決めます。アンの死後、エリザベスは王女の称号を剥奪され、不遇な幼少期を送ることになりますが、ウィルだけは彼女の「王としての資質」を信じ続けました。
ジェーン・シーモアは待望の王子エドワードを産みますが、産褥死してしまいます。宮廷は喜びと悲しみが入り混じり、次なる権力争いが始まります。
実務家としての台頭とクロムウェルの失脚
青年になったウィルはケンブリッジで学び、その優秀さで宮廷の実務に取り込まれていきます。ここで彼は、当時の宰相トマス・クロムウェルの冷徹な仕事ぶりを目の当たりにします。
修道院の解散、宗教改革の推進。クロムウェルは王の欲望を満たすために法を操りましたが、やがて彼自身も王の不興を買い、失脚します。かつての権力者が脆くも崩れ去る様を見て、セシルは「権力とは何か、忠誠とは何か」を深く心に刻みます。
この時期、セシルは宮廷内での立ち回りを覚え、敵を作らず、しかし確固たる地盤を築いていきます。すべてはエリザベスのためです。
ヘンリー8世の晩年と後継者争い(中盤〜)
王は次々と妻を娶りますが、宮廷の混乱は深まるばかり。ヘンリー8世は肥満と病に苦しみ、疑心暗鬼に陥ります。
物語の焦点は「王の死後」へと移ります。幼いエドワード、カトリックを信奉するメアリ、そしてプロテスタントの希望であるエリザベス。三姉弟の運命が交錯する中、セシルはキャサリン・パー(最後の王妃)に接近し、エリザベスの教育環境と安全を確保するために奔走します。
そしてついに巨星墜つ。ヘンリー8世が崩御し、幼帝エドワード6世の時代が到来しました。
最新展開:戦場と摂政の影(〜第80話)
エドワード即位後、実権を握ったのは王の叔父であるサマセット公でした。セシルはサマセット公の部下として働きながら、虎視眈々と機会をうかがいます。
物語は宮廷劇から戦場へも広がります。スコットランドとの戦争(ラフ・ウーイング)が激化し、セシル自身も戦場へ赴くことに。インクと紙の世界で生きてきた彼が、泥と血にまみれる戦争の現実を直視する展開は、本作の白眉です。
2026年2月配信の最新話周辺では、戦後の混乱と、領地や宗教をめぐる「悪魔的な」因果が描かれています。サマセット公の権力基盤が揺らぎ始め、セシルが次の政治的決断を迫られる緊迫の局面。具体的な展開はぜひ本編で確かめていただきたいですが、歴史を知る者には「あの事件」の足音が聞こえてくるような、不穏でスリリングな展開が続いています。
ここが面白い!注目すべき見どころ
1. 台詞に頼らない「表情」の演技
こざき亜衣先生の真骨頂は、キャラクターの「目」です。口では恭順の意を示しながら、目だけで反逆の意志を語る。あるいは無言のコマに込められた絶望。漫画だからこそできる表現力が、歴史劇の重厚さを支えています。
2. 現代にも通じる「社内政治」のリアル
舞台は16世紀ですが、描かれているのは組織論であり、派閥争いです。上司のパワハラ(ヘンリー8世は究極のパワハラ上司です)、同僚との足の引っ張り合い、その中での身の処し方。社会人であれば、セシルの苦悩に共感せずにはいられません。
3. セシルとエリザベスの絆
恋愛感情とは違う、もっと強固で運命的な「共犯関係」。幼いエリザベスが時折見せる王者の片鱗と、それを支えるセシルの献身。二人が視線を交わすだけで、読者の胸は熱くなります。
この作品はこんな人におすすめ
- 歴史ドラマ・大河ドラマが好きな人:『ウルフ・ホール』や『ブーリン家の姉妹』などの世界観が好きな方には刺さります。
- 組織で働く大人たち:理不尽な上司や組織の論理に板挟みになりながらも、信念を貫こうとする姿に勇気をもらえます。
- 「賢い主人公」が好きな人:武力ではなく、知恵とペンで戦う主人公の活躍を楽しみたい方に最適です。
よくある質問(FAQ)
Q. 完結していますか?
A. 2026年2月現在、連載中です。史実をベースにしているため、エリザベスが即位するまで(あるいはその治世まで)描かれると予想されます。
Q. 史実を知らなくても楽しめますか?
A. 全く問題ありません。むしろ史実を知らない方が、先の読めない展開にハラハラできるでしょう。読後にWikipedia等で答え合わせをするのも楽しみ方の一つです。
『セシルの女王』を今すぐ読むなら
宮廷のドロドロとした人間模様と、その中で光るセシルの知略。文字だけでは伝えきれない圧倒的な画力は、ぜひ漫画で体験してください。
最新話に追いつくなら、電子書籍でのまとめ読みがおすすめです。
※会員登録なしでも試し読みが可能です
時代を超えて語り継がれる「女王」と「宰相」の物語。その幕開けを目撃するのは、今からでも遅くありません。
