『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』をいまさら追いかけている話
最近、ブログのネタを探しに過去の積ん読を整理していたら、古い巻の『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(略して「私モテ」あるいは「ワタモテ」) が出てきました。
読み返したらハマってしまい、連載の現在地まで追いかけることになりました。
気がついたら、単行本は28巻。連載の話数は「喪238」あたりまで来ていて、2011年の連載開始からもう15年経っているんですね。
私が社会人になりたてのころに始まった作品が、今も続いているのだから驚きです。
今日は、いまさらながら『私モテ』を追いかけて感じたこと、そしてネタバレを含めた作品の流れを書いていきたいと思います。
※ネタバレを含みますので、未読の方は注意してください。
この作品を一言で説明するのが難しい
『私モテ』を人に紹介しようとすると、毎回つまずきます。
「陰キャ女子高生の痛いギャグ漫画」と言えばそれまでですが、それだと身も蓋もない。
主人公の黒木智子(もこっち)は、中学まで「脳内妄想」で自分をモテキャラだと思い込んでいました。ところが高校に入ったら現実はまったく違っていた、というところから物語が始まります。
序盤のもこっちは、正直ちょっと見ていられないレベルの痛さです。
雑誌に書いてあるモテテクを真に受けてみたり、自分の魅力を謎の戦略で発揮しようとして空回りしたり。
読んでいるこっちが恥ずかしくなってくる。
でも、それだけの漫画ではないんですよね。
舞台は現代の高校、でも「現代」がずっと更新されている
舞台は現代日本の高校です。特別な設定はなく、どこにでもあるような学校生活。
面白いのが、連載が長いのでネタが「そのときの現代」を反映していくところです。
初期の頃はガラケーや旧世代のオタク文化が描かれていましたが、巻が進むにつれてスマホになり、SNSの話題が出てきて、動画配信の話もチラっと出てくる。
もこっちは作品の中で歳をとっていないのに、まわりの時代だけが更新されていくのです。
これは連載漫画ならではの面白さだと思います。ドラえもんがずっと現代の小学生でいられるのと似ていますね。
(ネタバレ)ざっくり追いかける作品の流れ
ここから少しだけネタバレの話を書きます。といっても、話を一つずつ追っても仕方がないので、「どんな流れで物語が動いてきたか」という視点でまとめます。
序盤:ひとりで空回りし続ける日々
入学したもこっちは、誰とも友達になれず、教室で一人でぼんやり過ごす日々を送ります。
家族(特に弟のトモキ)との掛け合いや、中学時代の友人ユーとのやりとりを通して、「もこっちの痛さ」が少しずつ描かれていきます。
この時期の話は、とにかくギャグとして完成度が高い。
そして同時に、読んでいて少し胸が痛い。
中盤:友達ができはじめる、でも素直にはなれない
ここが面白いところなんですが、もこっちにも少しずつ関わってくれる人が現れます。
クラスメイトの朱里、紗弥加、サチなど、キャラクターがどんどん増えていく。
ところが、もこっちは友達ができても素直に喜ばない。
いや、喜んでいるんだけど、それを素直に表現する回路を持っていない。
この「関係があるのに、ないフリをする」感じが、私には刺さりました。
大人になってから人と関わるとき、誰しも少なからず経験する距離感ではないでしょうか。
終盤〜現在:群像劇としての厚み
近年の展開では、もこっちだけでなくクラスメイトたちの視点でも話が進みます。
それぞれが何を考え、どういう背景を持っているのか、丁寧に描かれていく。
最大の山場は、文化祭での自主映画制作のエピソードです。
これがものすごく長いのですが、ここで登場人物たちの関係性がぐっと深まります。
最新の単行本28巻あたりでは、その自主映画を家族が観に来ている、という場面が出てきます。
この「親バレ」のくだりが個人的にとても好きで、もこっちが自分の世界を守っていたガードが、少しだけ外れる瞬間のように感じました。
この作品が面白いのは「痛さ」と「優しさ」の距離感
『私モテ』を語るとき、多くの人が「痛い」「辛辣」「見ていられない」という言葉を使います。
でも、読み続けてわかったのは、作者の視点は冷笑でも同情でもないということです。
もこっちを笑い飛ばすわけでもないし、「かわいそうな子」として慰めるわけでもない。
ただ「そういう人間がいて、そういう毎日を過ごしている」ことを、淡々と描いている。
この距離感が、他の学園モノにはあまりない独特の味わいだと思います。
そして、長く読み続けるとわかってくるのが、もこっち自身もゆっくり変わっているということです。
劇的な変化ではありません。
ある日急に陽キャになるわけでもなく、恋愛が成就するわけでもない。
でも、中学時代のもこっちと、文化祭を経たもこっちでは、明らかに違う。
「何が変わったのか言語化しにくい変化」を、漫画で表現しているのです。
深く楽しむための、私なりの読み方
この作品を読むときに、私が意識していることを3つ挙げます。
1つ目は、もこっちの「妄想」と「現実」のギャップに注目すること。
モノローグでバーッと語られる脳内と、実際の行動の落差。この差を味わうと、作者の絶妙な匙加減が見えてきます。
2つ目は、サブキャラの行動を観察すること。
もこっちを取り巻く女子たちの、何気ないセリフや表情。あとから読み返すと「あ、ここで伏線が張られていたのか」と気づくことが結構あります。
3つ目は、時代の変化を感じること。
15年続いている連載だからこそ、作中のガジェットや流行が少しずつ変わっていきます。これ自体が面白い。
どんな人に合う作品か
万人受けする漫画ではないと思います。
軽いラブコメや、わかりやすいハッピーエンドを期待する人にはしんどい場面が多い。
でも、こんな人にはハマると思います。
- 痛さとユーモアが両立した漫画が好きな人
- キャラクターの内面をじっくり追いたい人
- 思春期の「うまくいかなさ」を、甘くしないで描いた作品を読みたい人
- 日常系の群像劇が好きな人
私は大人になってから読み直して、10代の頃には気づけなかった機微が見えるようになりました。
大人になって読み返すと、また違う顔を見せる作品です。
まとめて読むなら電子書籍が便利
連載が長いので、紙の単行本で揃えると28巻分の置き場所に困ります。
というか、私の部屋はもう無理です。
私は途中から電子書籍で読むようになりました。
コミックシーモアだと全巻揃っていて、まとめ買いもしやすいです。初めての登録なら割引クーポンも使えるので、一気に読み始めたい人にはちょうど良いと思います。
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』をコミックシーモアで読む
アニメから入るのもアリ
2013年にテレビアニメ化されていて、こちらも評判が良いです。
序盤のもこっちの「痛さ」がアニメーションで動くと、漫画とは違う生々しさがあります。
声優の田村ゆかりさんのモノローグが、もこっちの脳内をぴったり表現していて必見です。
アニメはDMM TVで配信されています。漫画を読む前に雰囲気を掴みたい人は、アニメから入るのもアリだと思います。
アニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』をDMM TVで観る
おわりに
『私モテ』は、読み終わった後に何かが残る作品です。
それは爽快感ではないし、胸キュンでもない。
あえて言葉にするなら、「誰かの日常を、ずっと隣で見ていた感覚」でしょうか。
もこっちの高校生活は、もうすぐ終わります。
彼女がどんな結末を迎えるのか、それとも特に何も結論が出ないまま日常が続いていくのか。
どちらであっても、私はこの作品を最後まで見届けたいと思っています。
