※ネタバレ注意※ この記事は、漫画「スイート・マイホーム」の第一話から最終話（完結）までの全容を詳しく解説しています。物語の結末や重要な展開を先に知りたい方向けの内容となっておりますので、未読の方はご注意ください。
理想のマイホームを手に入れたはずの家族が、なぜ底知れぬ恐怖に飲み込まれていったのか。その衝撃的な物語の核心に迫ります。
「スイート・マイホーム」の作品基本情報
まずは、本作の基本情報と配信状況についてご紹介します。
- タイトル: スイート・マイホーム（コミカライズ分冊版）
- 原作: 神津凛子（第13回小説現代長編新人賞受賞作）
- 作画: 白雲ひな
- 出版社: 講談社
- 映画化: 2023年9月公開（監督：齊藤工、主演：窪田正孝）
コミックシーモアでの配信状況
コミックシーモアでは、「スイート・マイホーム」のコミカライズ版が全15話で完結済みです。2025年10月現在、いつでも最終話まで一気に読むことができます。
物語の全貌を、白雲ひな先生の美麗かつ不穏な作画でぜひ体験してみてください。
【結末要約】先に知りたい！物語の核心とは？
物語の結末をひと言でまとめると、「理想の家をきっかけに、家族と関係者の隠された狂気やトラウマが暴かれ、破滅的な結末へと突き進む物語」です。
幸せの象徴だったはずのマイホームが、登場人物たちの心を蝕む恐怖の舞台へと変貌していきます。そのラストは、読後に嫌な余韻が残る「イヤミス」として非常に高く評価されており、救いのない結末があなたを待ち受けています。
【ネタバレ】第一話から最終話までの物語の流れ
幸せな家族が恐怖の渦に巻き込まれていく過程を、物語の進行に沿って解説します。
序盤：理想の「まほうの家」との出会い
スポーツインストラクターの清沢賢二は、寒がりの妻・ひとみと娘・サチのために、冬の厳しい長野でも快適に過ごせる理想の家を探していました。そんな彼が出会ったのが、たった一台のエアコンで家中を暖められるという「まほうの家」。
住宅会社の担当者・本田の案内でモデルハウスを訪れた清沢一家は、その快適さに感動し、マイホームの購入を決意します。新しい家での幸せな生活が始まる…はずでした。しかし、引っ越し直後から、家の中で小さな違和感が積み重なっていきます。
中盤：忍び寄る不穏な影と崩壊する日常
家に招いた友人の子どもが何かに怯えて帰ってしまったり、赤ん坊の瞳に不気味な「人影」が映り込んだり…。説明のつかない奇妙な現象が、家族の間に不安の種をまいていきます。
さらに、賢二の不倫疑惑や、彼の兄・聡が抱える過去のトラウマなど、家族を取り巻く人間関係にも不協和音が生じ始めます。家の設計に関わった奇妙なインテリアコーディネーター・甘利の存在も、物語に不穏さを加えていきます。
決定的な事件は、家の地下で発生します。娘のサチが何者かに髪を掴まれ、絶叫するのです。この出来事を境に、家族の恐怖は頂点に達し、幸せだった日常は急速に崩壊へと向かっていきます。
終盤〜最終話：狂気の連鎖と衝撃の結末
関係者の一人が不審な死を遂げたことで、物語は一気に加速します。登場人物たちがそれぞれ隠していた秘密や狂気が次々と露わになり、誰が被害者で誰が加害者なのか、その境界線は曖昧になっていきます。
特に、物語の鍵を握るのは賢二の兄・聡の存在。彼の過去と現在の言動が、この家に渦巻く恐怖の根源と深く結びついていきます。家という閉鎖された空間で増幅された疑心暗鬼は、やがて取り返しのつかない悲劇を生み出すことに…。
最終話では、すべての謎がつながり、衝撃的な真相が明かされます。しかし、それは決してカタルシスの得られるものではありません。読者の予想を裏切る形で、物語は最も恐ろしい結末へと着地します。その「救いのなさ」こそが、本作が多くの読者に強烈な印象を残す理由なのです。
最終章（結末）の意味と考察｜なぜ悲劇は起きたのか
「スイート・マイホーム」の恐怖の根源は、心霊現象のような超常的なものではなく、人間の内面に潜む「狂気」にあります。
理想の家は、登場人物たちが心の奥底に抱えていた孤独、嫉妬、トラウマといった負の感情を増幅させ、暴き出すための「触媒」に過ぎなかったのかもしれません。一見、幸せそうに見える家族が、いかに脆いバランスの上で成り立っているのかを、本作は冷徹な視点で描き出しています。
また、原作小説、コミカライズ、そして映画版では、それぞれ少しずつ結末のニュアンスや焦点の当て方が異なります。特に映画版は、映像ならではの演出で心理的な恐怖を巧みに表現しており、原作や漫画を読んだ後で鑑賞すると、新たな発見があるでしょう。
感想｜この漫画は読むべき？どんな人におすすめ？
もしあなたが、読後にしばらく引きずるような、後味の悪い物語（イヤミス）や、じわじわと精神を追い詰めてくるような心理サスペンスが好きなら、「スイート・マイホーム」は間違いなく”読むべき”一作です。
幸せな日常が少しずつ壊れていく過程の巧みな描写は、ページをめくる手を止められなくさせます。ホラーが苦手な方でも、幽霊やオカルトがメインではないため、人間の怖さを描く物語として楽しめるかもしれません。
原作小説、映画、そしてコミカライズ。それぞれのメディアで異なる恐怖を味わえるのも本作の魅力です。まずは物語の全体像を手軽に掴めるコミック版から読んでみてはいかがでしょうか。
「スイート・マイホーム」に関するよくある質問
最後に、本作に関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
- Q. 結局、犯人は誰だったの？
- A. 物語の核心に触れるため明言は避けますが、単純な「犯人探し」の物語ではありません。登場人物それぞれの行動が、複雑に絡み合って悲劇を引き起こします。その真相は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
- Q. 原作小説や映画との違いは？
- A. 大筋のストーリーは共通していますが、キャラクターの心理描写の深さや、結末の余韻などが異なります。コミカライズ版は、原作の不穏な空気を忠実に再現しつつ、ビジュアルで恐怖を補強しているのが特徴です。
- Q. タイトル「スイート・マイホーム」の意味は？
- A. 直訳すれば「愛しい我が家」ですが、物語を最後まで読むと、このタイトルが持つ強烈な皮肉に気づくはずです。幸せの象徴である言葉が、これほどまでに恐ろしく響く作品は他にないでしょう。
