【ネタバレ】芋虫(丸尾末広)あらすじ・結末を完全解説|原作との違いと読む前の注意

【ネタバレ】芋虫(丸尾末広)あらすじ・結末を完全解説|原作との違いと読む前の注意 青年マンガ
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【注意】この記事は、丸尾末広の漫画『芋虫』(原作:江戸川乱歩)の結末や物語の核心に触れるネタバレを全面的に含んでいます。

「読む前にどんな物語か知っておきたい」「結末が気になって仕方ない」という方のために、本作のあらすじから衝撃のラストまでを徹底解説します。まだ結末を知りたくない方は、ブラウザを閉じることを強く推奨します。

本作は、その唯一無二の画力で描かれる倒錯的な愛と狂気の物語。一度読んだら忘れられない強烈な体験があなたを待っています。この記事で興味を持たれた方は、ぜひコミックシーモアで本編を手に取ってみてください。


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ネタバレなしで知りたい!『芋虫』はどんな物語?

物語の舞台は、戦争の影が色濃く残る時代。シベリア出兵で両手両足を失い、聴覚と会話能力も奪われた須永中尉。彼はまるで「芋虫」のような姿で故郷に帰還します。彼の妻である時子は、献身的に夫を介護し、周囲からは「貞淑な妻」として称賛されていました。

しかし、閉ざされた二人の空間で、その関係は静かに、そして確実におぞましいものへと変貌していきます。無力な夫を前にした時、時子の心に芽生えたのは愛情ではなく、支配欲と加虐的な快楽でした。二人の倒錯した愛憎劇は、やがて取り返しのつかない悲劇的な結末へと突き進んでいきます。

作品の基本情報

丸尾末広版『芋虫』は、日本探偵小説の父・江戸川乱歩の同名短編小説を原作とした漫画作品です。2009年に「月刊コミックビーム」で連載され、その衝撃的な内容と丸尾末広の圧倒的な画力で大きな話題を呼びました。2025年現在、電子書籍サイト「コミックシーモア」で単行本第1巻が配信中です。

  • 原作: 江戸川乱歩
  • 脚色・作画: 丸尾末広
  • 出版社: KADOKAWA / エンターブレイン
  • 連載誌: 月刊コミックビーム (2009年)

息を吞む狂気と官能美…丸尾末広版『芋虫』の3つの見どころ

見どころ①:丸尾末広の緻密で妖艶な作画

本作の最大の見どころは、何と言っても丸尾末広の唯一無二の作画です。昭和レトロな雰囲気を纏った緻密な線で描かれる登場人物たちは、どこか退廃的で妖しい魅力を放っています。原作の持つエロ・グロ・ナンセンスな世界観が、彼のペンによって何倍にも増幅され、読者に強烈な視覚的インパクトを与えます。

見どころ②:人間の心の闇を抉る心理描写

献身的な妻から、夫を虐げることに快楽を見出す加虐者へと変貌していく時子の心理描写は、本作の核となる部分です。愛情、憐憫、支配欲、性的衝動、そして罪悪感。人間の心に潜む複雑で矛盾した感情が、息苦しいほどのリアリティで描かれており、読者はページをめくる手が止まらなくなります。

見どころ③:原作の持つ不気味さを増幅させる構成力

丸尾末広は、原作のプロットに忠実でありながら、漫画ならではの表現で物語の持つ不気味さや狂気を巧みに増幅させています。象徴的なモチーフの配置や、夢と現実が入り混じるような幻想的なシーンは、読者の不安を掻き立て、物語の深淵へと引きずり込みます。

【完全ネタバレ】『芋虫』の結末までのあらすじを徹底解説

ここからは、物語の導入から衝撃のラストシーンまで、全てのあらすじを解説していきます。未読の方はご注意ください。

登場人物

  • 須永中尉: 戦争で四肢と感覚の多くを失った元軍人。言葉を発することもできず、ただ横たわっているだけの存在。その姿はまさに「芋虫」のよう。
  • 須永時子: 中尉の妻。当初は夫を献身的に介護するが、次第にその無力な姿に倒錯した感情を抱き、加虐的な行為に溺れていく。
  • 鷲尾少将: 中尉の元上官で、夫妻が身を寄せる家の主。時子の献身を称賛するが、二人の間の歪んだ関係には気づいていない。

序盤:献身的な妻の仮面

物語は、四肢を失った須永中尉が妻・時子に介護される日常から始まります。周囲は時子を「貞女の鑑」と褒めそやしますが、時子の内心では、夫への憐れみと、彼を完全に支配できるという優越感が渦巻いていました。彼女は、夫の食事や排泄の世話をする中で、彼の無力さを確認し、密かな快楽を感じ始めていました。

中盤:エスカレートする加虐行為

時子の倒錯した欲望は次第にエスカレートしていきます。彼女は夫を玩具のように扱い、屈辱的な姿勢を取らせたり、彼のわずかに残った感覚を弄んだりして愉しみます。抵抗できない夫は、時子のなすがまま。閉ざされた部屋で繰り広げられる歪んだ関係は、もはや愛情とはかけ離れた、一方的な支配と被支配の関係へと変貌していました。

クライマックス:取り返しのつかない一線

ある日、時子の加虐行為は頂点に達します。彼女は夫に残された最後の光である「視力」までも奪おうとします。この行為の後、我に返った時子は激しい罪悪感に襲われます。彼女は夫の胸に指で「ユルシテ」と書き、懺悔しますが、時すでに遅しでした。

結末:芋虫の最期

時子が鷲尾少将と共に部屋に戻ると、そこに夫の姿はありませんでした。枕元の柱には、か細い力で書かれた「ユルス」の三文字が。二人が慌てて外を探すと、庭の隅にある古井戸に向かって、地面を這い進む夫の姿を発見します。

その姿は、まさしく一匹の「芋虫」。

時子が声をかける間もなく、彼は古井戸の暗い闇の中へと身を投じ、その姿を永遠に消してしまいます。人間としての尊厳をすべて奪われた末の、あまりにも悲劇的で象徴的な最期でした。


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原作・江戸川乱歩版との違いは?

丸尾末広版『芋虫』は、ストーリーラインにおいては原作に非常に忠実です。しかし、最大の違いは「視覚的なインパクト」にあります。

江戸川乱歩の原作が、読者の想像力に働きかけることで恐怖と不気味さを演出するのに対し、丸尾末広版は、その全てを圧倒的な画力で描き切ります。時子の妖艶な表情、須永中尉の痛々しい姿、二人の倒錯した行為の数々が、白日の下に晒されるのです。これにより、原作の持つ心理的な恐怖が、より直接的で官能的な恐怖へと昇華されています。

読む前に知っておきたい注意点

本作は、その芸術性の高さとは裏腹に、非常に刺激の強い表現を含んでいます。

  • グロテスクな描写: 戦争による身体の欠損や、暴力的なシーンが直接的に描かれています。
  • 過激な性的描写: 倒錯した性行為や、加虐的な表現が多く含まれます。

これらの表現が苦手な方は、気分を害する可能性があります。読む際には、ある程度の心構えが必要です。しかし、そのショッキングな表現の先に、人間の本質に迫る鋭いテーマが隠されていることもまた事実です。

丸尾末広版『芋虫』に関するQ&A

Q. 映画化はされていますか?
A. 2010年に若松孝二監督によって『キャタピラー』というタイトルで映画化されています。設定や物語の展開に違いはありますが、本作のテーマ性を共有する作品です。

Q. 丸尾末広の他の作品も気になります。
A. 『少女椿』や『笑う吸血鬼』などが代表作として知られています。いずれも独自の世界観と美麗な作画が特徴で、『芋虫』で興味を持った方にはぜひおすすめしたい作品です。

まとめ:人間の深淵を覗く衝撃作をその目に

丸尾末広版『芋虫』は、戦争が人間にもたらす肉体と精神の破壊、そして極限状況下で露わになる倒錯した愛と欲望を描いた、他に類を見ない傑作です。

その表現は過激でありながらも、目を背けたくなるような描写の中に、抗いがたいほどの芸術性と美しさが同居しています。この記事であらすじや結末を知った上で読むことで、また新たな発見や解釈が生まれるかもしれません。

この忘れがたい読書体験を、ぜひあなた自身で味わってみてください。コミックシーモアでは、お得なクーポンを利用して購入することも可能です。


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