「ある日突然、母親が別人になってしまったら?」
『母親を陰謀論で失った』は、そんな悪夢のような現実を描いたセミフィクションのコミックです。noteで発表され大きな反響を呼んだ実体験をもとに、コロナ禍の日本でごく普通の家族が静かに崩壊していく様子が、息子ナオキの視点から痛切に綴られています。
この記事では、本作の結末を含むネタバレを徹底解説。物語の始まりから終わりまで、母親がなぜ変わってしまったのか、家族はどう向き合ったのかを時系列で詳しく追っていきます。
「衝撃的なタイトルだけど、どんな話なの?」「結末が気になる…」という方は、ぜひ最後までご覧ください。この物語は、決して他人事ではありません。
漫画『母親を陰謀論で失った』の基本情報
まずは作品の基本情報からご紹介します。本作は単巻で完結しており、電子書籍ですぐに読むことができます。
| タイトル | 母親を陰謀論で失った |
|---|---|
| 原作 | ぺんたん |
| 漫画 | まきりえこ |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 配信状況 | 全1巻(完結) |
この衝撃的な物語は、コミックシーモアで読むことができます。まずは無料の試し読みから、その世界の空気感に触れてみるのがおすすめです。
【注意】
これより先には、物語の結末を含む重大なネタバレが記載されています。未読の方はご注意ください。
『母親を陰謀論で失った』あらすじ(ネタバレなし)
主人公・ナオキは、地方で暮らす母親・ケイコと良好な関係を築いていました。しかし、2020年のコロナ禍を境に、その日常は静かに歪み始めます。最初は健康を気遣う連絡だったはずが、いつしか母から送られてくるLINEは、真偽不明な動画のURLで埋め尽くされるように。
「ワクチンは危険」「裏で世界を操る組織がある」――。
SNSや動画サイトを通じて陰謀論に傾倒していく母。戸惑い、反論し、理解しようと試みるナオキでしたが、会話は噛み合わず、家族の溝は深まるばかり。温厚だった母はなぜ変わってしまったのか? これは、情報という見えない脅威によって、大切な家族を「失う」までを描いた、現代日本のリアルな記録です。
【全話ネタバレ】物語の始まりから結末までの流れを時系列で解説
ここからは、物語の核心に触れていきます。主人公ナオキの視点で、母親との関係がどのように変化し、どのような結末を迎えたのかを詳しく見ていきましょう。
序章:日常に差し込む不穏な光
物語は、コロナ禍で直接会うことが難しくなった時期から始まります。当初、母ケイコからの連絡は、息子の体を気遣うごく普通の母親のものでした。しかし、ある時から「すごい情報を見つけたの」という言葉と共に、怪しげな動画のリンクが送られてくるようになります。
最初は「また変なものを見てるな」と軽く流していたナオキ。しかし、送られてくる動画の頻度と内容は次第にエスカレート。ナオキは母の変化に戸惑いながらも、まだそれが家族を崩壊させる入り口だとは気づいていませんでした。
傾倒:母はなぜ「目覚めて」しまったのか
母が信じるようになったのは、「ワクチンは人口削減計画の一環」「特定の勢力が世界を支配している」といった、典型的な陰謀論でした。彼女はSNS上のコミュニティで同じ思想を持つ「仲間」を見つけ、そこで承認欲求を満たし、自分の信じる「真実」をさらに強固なものにしていきます。
ナオキは、科学的な根拠を示して冷静に反論を試みます。しかし、母にとってナオキの言葉は「まだ目覚めていない人間の戯言」でしかありませんでした。反論すればするほど、母は心を閉ざし、「あなたも洗脳されている」と逆に心配される始末。この「バックファイヤー効果」により、親子の溝は決定的に深まっていきます。
父は家庭の平和を維持するため、母の話題に触れないように距離を取ることを選択。ナオキの妻も、義母の豹変ぶりに困惑し、家族の空気は日に日に重くなっていきました。
葛藤:失われゆく「かつての母」
ナオキは母を救いたい一心で、彼女が見ている動画やSNSアカウントを自ら調べるようになります。そこには、不安や孤独を抱えた人々が、シンプルな善悪二元論に救いを求める姿がありました。母が陰謀論にハマった背景には、社会からの孤立感や、将来への漠然とした不安があったのかもしれない――。ナオキはそう理解しようと努めます。
説得から対話へ、そして同情へ。ナオキはあらゆるアプローチを試みますが、母の信念を覆すことはできませんでした。母は「真実」を広めるという使命感に燃え、家族の心配をよそに行動をエスカレートさせていきます。
結末:家族が下した最後の決断
物語は、安易なハッピーエンドを迎えません。母の言動が家族の安全や社会的信用を脅かすレベルに達したとき、ナオキたちは重大な決断を迫られます。
最終的に、彼らが選んだ道とは何だったのか。それは「和解」や「救出」といった希望に満ちたものではなく、もっと静かで、それでいて胸が張り裂けるような喪失感を伴うものでした。
この物語が突きつけるのは、「母親は元に戻らなかった」という厳しい現実です。ナオキは、物理的には存在しているけれど、精神的には失われてしまった母親を想い、静かに涙を流します。本作は、読者に対して「もし自分の家族がこうなったら、どうしますか?」という、答えのない重い問いを投げかけて終わるのです。
本作の魅力と考察|なぜ多くの人の胸を打つのか?
『母親を陰謀論で失った』が単なる暴露話で終わらないのは、その丁寧な心理描写と、現代社会が抱える問題点を見事に描き出しているからです。
「悪人」ではなく「被害者」として描かれる母親
本作の優れた点は、陰謀論に染まった母親を単純な「悪者」として断罪していないことです。むしろ、孤独や不安といった心の隙間に、デマや陰謀論が入り込んでしまった「被害者」としての側面が丁寧に描かれています。
だからこそ、読者はナオキの苦悩に深く共感し、「自分の母親も、いつこうなってもおかしくない」というリアルな恐怖を感じるのです。
「情報リテラシー」だけでは解決できない問題
この物語は、単に「情報リテラシーを身につけよう」という教訓だけでは片付けられない、家族関係の複雑さを示唆しています。一度信じてしまった相手を、正論だけで説得するのはほぼ不可能です。特に、相手が大切な家族であればあるほど、感情的な対立が生まれ、関係はこじれていきます。
本作は、有効な解決策を示してはくれません。しかし、このどうしようもない現実を直視させ、私たちに「大切な人とどう向き合うべきか」を考えるきっかけを与えてくれます。
まとめ:これは、あなたの家族の物語かもしれない
『母親を陰謀論で失った』は、コロナ禍という特殊な時代を背景にしながらも、情報過多の現代を生きるすべての人々にとって普遍的なテーマを扱っています。誰が、いつ、何がきっかけで「あちら側」に行ってしまうか分かりません。
この息の詰まるようなリアルな物語を、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。読後、きっと家族や大切な人とのコミュニケーションについて、改めて考えさせられるはずです。
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よくある質問(FAQ)
- Q. この漫画は実話ですか?
- A. 原作者ぺんたんさんのnoteで発表された実体験をもとにしたコミックエッセイ(セミフィクション)です。個人的な体験でありながら、多くの人が共感できる普遍性を持っています。
- Q. 作品は全何巻ですか? 続編はありますか?
- A. 2025年11月現在、全1巻で完結しています。続編に関する公式な情報はありません。
- Q. どんな人におすすめの作品ですか?
- A. 家族関係に悩んでいる方、コロナ禍以降の社会の変化に関心がある方、情報との付き合い方を考えたい方など、幅広い読者におすすめです。特に、親世代とのコミュニケーションに難しさを感じている方には、刺さる部分が多いかもしれません。


