この記事では、大今良時先生が描く不朽の名作『聲の形』の重大なネタバレを含みます。まだ結末を知らずに作品を楽しみたい方は、ブラウザを閉じて先に原作を読むことを強くおすすめします。
本稿は、原作漫画の第1話から最終話(第62話)までのあらすじを完全網羅し、登場人物たちの心の軌跡や物語の結末を徹底解説します。京都アニメーション制作の劇場版アニメを観て「原作の結末が気になる」「カットされたエピソードを知りたい」という方にも最適な内容です。心の準備はよろしいでしょうか?それでは、『聲の形』の奥深い物語の世界へご案内します。
『聲の形』の基本情報
まずは、物語を深く知る前に作品の基本情報をおさらいしておきましょう。
- 作者: 大今良時
- 巻数: 全7巻(完結)
- 話数: 全62話
- 連載誌: 週刊少年マガジン
- ジャンル: 少年漫画、学園、人間ドラマ
『聲の形』は、その繊細なテーマと心を揺さぶるストーリーで、数々の漫画賞を受賞し、多くの読者の共感を呼びました。現在、電子書籍サービス「コミックシーモア」で全巻配信中です。ネタバレを読む前に、まず自分の目で確かめたい方は、こちらからチェックしてみてください。
物語を彩る主要な登場人物
『聲の形』の物語は、登場人物たちの複雑な心情が絡み合うことで深みを増していきます。ここでは、物語の中心となる人物たちを簡単にご紹介します。
- 石田将也: 本作の主人公。小学生時代、聴覚障害を持つ転校生・西宮硝子をいじめた中心人物。その過去が原因で高校では孤立し、深い罪悪感を抱えて生きています。
- 西宮硝子: ヒロイン。先天性の聴覚障害を持つ少女。他者とのコミュニケーションに困難を抱えながらも、懸命に人と繋がろうとします。
- 西宮結絃: 硝子の妹。姉をいじめから守るため、常に気を張っています。カメラが趣味で、物語の重要な視点を提供します。
- 永束友宏: 将也の高校での最初の友人。将也を「親友」と呼び、彼の孤独な世界を変えるきっかけとなります。
- 植野直花: 将也の小学校時代の同級生。硝子に対して複雑な感情を抱いており、再会後も将也や硝子と度々衝突します。
【完全ネタバレ】『聲の形』第1話から最終話までのあらすじ
ここからは、物語の核心に迫るネタバレ解説です。第1巻から最終7巻まで、将也と硝子、そして彼らを取り巻く人々の物語を時系列で追っていきましょう。
第1巻:過去の罪と再会の誓い
物語は、高校生になった石田将也が、人生に絶望し、自ら命を絶つ準備を進める場面から始まります。彼の心には、小学生時代に犯した大きな過ちが重くのしかかっていました。
当時、ガキ大将だった将也は、転校してきた聴覚障害のある少女・西宮硝子を好奇心と退屈しのぎからいじめのターゲットにします。補聴器を壊し、心ない言葉を浴びせる日々。しかし、いじめが問題化すると、クラスメイトや担任教師は手のひらを返し、将也だけが悪者に仕立て上げられます。硝子は転校し、将也は「いじめた側」から「いじめられる側」へと転落。以来、彼は心を閉ざし、孤独な日々を送ることになりました。
すべてを清算するために死を選ぼうとした将也でしたが、最後にひとつだけやり残したことがありました。それは、硝子に会って謝罪すること。手話を学び、必死の思いで硝子の居場所を探し出した将也は、ついに彼女との再会を果たします。
第2巻~第3巻:閉ざされた心の扉が開き始める
「友達になってほしい」—。将也の拙い手話での申し出に、硝子は戸惑いながらも応じます。この再会をきっかけに、将也の世界は少しずつ色を取り戻し始めました。自転車を盗まれたところを助けたことで永束友宏という初めての親友ができ、硝子の妹・結絃とも交流が生まれます。
将也は、過去の贖罪のため、そして硝子との失われた時間を取り戻すため、小学校時代の同級生たちを訪ね歩きます。しかし、過去との対峙は簡単ではありません。かつての仲間である植野直花や川井みきとの再会は、忘れかけていた罪悪感や、目を背けていた人間関係の歪みを再び浮き彫りにするのでした。
第4巻~第5巻:繋がる絆と、軋む過去
将也の努力によって、小学校時代の仲間たちが再び集まり始めます。彼らは自主制作映画を作るという共通の目標を見つけ、一時は友情が再構築されたかのように見えました。しかし、その内側では、それぞれが抱える過去への後悔や嫉妬、自己保身の感情が渦巻いていました。
特に、将也が「昔の仲間」だと信じていた友人たちとの間にあった見えない壁が、ある出来事をきっかけに崩壊します。将也は、自分が結局誰も信じていなかったこと、表面的な関係を取り繕っていただけだったことに気づき、再び孤立を深めてしまいます。
第6巻~第7巻:絶望の淵と、再生の光
友人たちとの関係が崩壊し、精神的に追い詰められた将也。同じ頃、硝子もまた、自分の存在が周りの人々を不幸にしているのではないかと深く思い悩み、絶望の淵に立たされます。そして、物語は衝撃的な展開を迎えます。
将也は、硝子を救うために自らの身を投げ出し、意識不明の重体に。この事件をきっかけに、バラバラになっていた仲間たちは、自分たちの過ちや弱さと向き合い始めます。将也の母、硝子の母、そして友人たち。それぞれが「伝える」ことの難しさと大切さを痛感し、不器用ながらも歩み寄ろうとします。
そして迎える最終話。目覚めた将也が見た世界とは?彼と硝子、そして仲間たちがたどり着いた結末は、単純なハッピーエンドではありません。しかし、そこには確かな希望の光が灯っていました。彼らがこれからどんな「こえ」を伝え、どんな「かたち」の未来を築いていくのか。その答えは、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
映画版と原作漫画の主な違い
京都アニメーションが制作した映画版は、約2時間という尺の中に原作のテーマを見事に凝縮した傑作です。しかし、原作の全7巻に込められたエピソードのすべてを描いているわけではありません。
- カットされた登場人物とエピソード: 原作では、将也たちが取り組む「映画制作」のエピソードが物語の重要な軸となりますが、映画版では大幅にカットされています。これにより、一部のキャラクターの出番や深掘りが少なくなっています。
- 心理描写の深さ: 原作では、将也や硝子だけでなく、植野、川井、佐原といったサブキャラクターたちの内面も丁寧に描かれています。彼らがなぜそのような行動を取るのか、その背景にある葛藤やコンプレックスを知ることで、物語の解像度が格段に上がります。
- 結末のその先: 映画は高校卒業の場面で幕を閉じますが、原作ではその少し先の未来、登場人物たちが新たな一歩を踏み出す様子が描かれています。
映画に感動した方こそ、原作を読むことでキャラクターたちの新たな魅力に気づき、物語をより深く味わうことができるでしょう。
『聲の形』に関するよくある質問(FAQ)
最後に、本作についてよく寄せられる疑問にお答えします。
- Q. 最終回の結末はハッピーエンドですか?
- A. 最終話は、登場人物たちが過去の傷を乗り越え、未来に向かって歩み出す希望に満ちた結末となっています。明確な恋愛成就などが描かれるわけではありませんが、彼らの関係性が前進したことを感じさせる、余韻の残る美しい終わり方です。
- Q. 登場人物たちの「その後」は描かれていますか?
- A. 原作の最終巻では、高校卒業後の進路など、彼らの「その後」を少しだけ垣間見ることができます。それぞれが自分の道を見つけ、成長した姿が描かれています。
- Q. 漫画と映画、どちらから見るのがおすすめですか?
- A. どちらからでも楽しめますが、「映画→漫画」の順番がおすすめです。まず映画で物語の全体像と感動を味わい、その後で原作を読んで、カットされたエピソードやキャラクターの深い心理描写を補完していくと、作品の世界を二度楽しむことができます。
まとめ:『聲の形』のネタバレ解説を終えて
『聲の形』は、単なるいじめや聴覚障害をテーマにした作品ではありません。人と人が分かり合うことの難しさ、伝えることの尊さ、そして過去の過ちと向き合い再生していく人間の強さを描いた、普遍的な人間ドラマです。
今回のネタバレ記事で、物語のあらすじや結末を知ってしまったかもしれません。しかし、この作品の本当の魅力は、文字だけでは伝えきれないキャラクターたちの表情、息遣い、そして行間に込められた感情にあります。
ぜひ、電子書籍で原作を手に取り、将也と硝子、そして仲間たちが紡いだ「こえ」の物語を、あなた自身の心で感じてみてください。きっと、忘れられない読書体験が待っています。


