長井龍雪監督、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン・田中将賀によるクリエイターチーム「超平和バスターズ」が贈る、切なくて少し不思議な青春物語『空の青さを知る人よ』。
2019年に公開されたアニメ映画は大きな話題を呼びましたが、その感動をより深く味わえるコミカライズ版(作画:蜷川ヤエコ)が存在することをご存知でしょうか?
この記事では、コミカライズ版『空の青さを知る人よ』の第1巻から最終巻(全4巻)までのあらすじを、結末まで含めて徹底的にネタバレ解説します。
映画との違いや漫画版ならではの魅力にも触れていくので、「映画は観たけど漫画はまだ」という方も必見です。
※本記事は作品の結末を含む重大なネタバレを記載しています。未読の方はご注意ください。
『空の青さを知る人よ』とは?アニメ映画とコミカライズ版の関係
『空の青さを知る人よ』は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』を手掛けた「超平和バスターズ」による、オリジナル長編アニメーション映画が原作です。
物語の舞台は、埼玉県の秩父。過去と現在、そして叶わなかった夢が交錯する中で、高校生の姉妹と、姉のかつての恋人だった二人の「しんのすけ」を巡る、感動的な四角関係が描かれます。
今回ご紹介するコミカライズ版は、この映画のストーリーを基に、作画・蜷川ヤエコ先生によって丁寧に描かれた作品です。映画の脚本をベースにしながらも、登場人物たちの細やかな心理描写や、映画では描かれなかったエピソードが追加されており、物語の世界をより深く楽しむことができます。
2025年現在、コミックは全4巻で完結しており、電子書籍サイトなどで一気に読むことが可能です。
物語を彩る主要な登場人物たち
物語は、この4人の想いが複雑に絡み合うことで展開していきます。
- 相生あおい:本作の主人公。感受性豊かな高校2年生。姉のあかねに負い目を感じつつ、プロのベーシストになることを夢見ている。
- 相生あかね:あおいの姉。13年前に両親を事故で亡くして以来、親代わりとしてあおいを育ててきた。かつては慎之介と恋人同士だったが、あおいを育てるために上京を諦めた過去を持つ。
- 金室慎之介:あかねのかつての恋人。31歳になり、売れないギタリストとして13年ぶりに故郷へ帰ってくる。夢に破れ、どこか斜に構えた現実的な大人になっている。
- しんの:13年前、高校生時代の慎之介がそのままの姿で現代に現れた存在。当時の夢や情熱に満ち溢れており、あおいの前に突然姿を現す。
【ネタバレ注意】コミカライズ版『空の青さを知る人よ』全4巻のあらすじ
ここからは、物語の核心に触れるネタバレを含みます。コミカライズ版全4巻のストーリーを、結末まで一気に振り返っていきましょう。
第1巻:過去からの使者「しんの」との出会い
山に囲まれた町で、高校2年生の相生あおいは、進路に悩む日々を送っていました。13年前に両親を亡くし、親代わりとなってくれた姉のあかね。彼女が自分のために恋人との上京を諦めたことを知り、あおいは負い目と苛立ちを感じています。
そんなある日、町の音楽祭のゲストとして、大物演歌歌手・新渡戸団吉がやってくることに。そのバックバンドのギタリストとして、あかねの元恋人・金室慎之介が13年ぶりに帰郷します。
時を同じくして、あおいの前に不思議な少年が現れます。彼の名は「しんの」。その姿は、なんと13年前、高校時代の慎之介そのものでした。過去からやってきたかのような「しんの」の存在は、止まっていた姉妹の時間を大きく動かし始めます。
第2巻:交錯する想いと現実の壁
あおいは、真っ直ぐに夢を語る「しんの」に惹かれ、次第に特別な感情を抱くようになります。彼と過ごす時間は、あおいの退屈な日常を鮮やかに彩っていきました。
しかしその一方で、現実の慎之介(31歳)は、夢に破れ、どこか擦れてしまった大人になっていました。あおいが理想とする「しんの」とはあまりに違う彼の姿に、あおいは失望と戸惑いを隠せません。
「あか姉は、私のために自分の人生を犠牲にした」。その想いが、あかねへの反発心となり、姉妹の関係はギクシャクしていきます。理想(しんの)と現実(慎之介)、そして姉への複雑な想いの間で、あおいの心は激しく揺れ動くのです。
第3巻:涙の告白と姉妹の絆
しんのへの想いを募らせたあおいは、ついに自分の気持ちを伝えようと決意します。しかし、しんのはあくまで「過去の存在」。成長し、別の人生を歩んできた慎之介とは、決して交わることのない存在でした。
しんのの存在は、あおいだけでなく、あかねと慎之介が封じ込めてきた過去の想いを浮き彫りにしていきます。あおいは、姉が自分にしてくれたこと、そのために諦めたものの大きさを改めて痛感し、涙ながらに感謝と謝罪の気持ちを伝えるのでした。
すれ違っていた姉妹の心が、ようやく一つになる瞬間。それは、あおいが自分の足で未来へ踏み出すための、大切な一歩でもありました。
最終巻(第4巻):音楽祭の先に待つ未来
物語はクライマックスの音楽祭へ。慎之介は新渡戸団吉のバックバンドとして、そしてあおいは助っ人としてステージに立ちます。そこで奏でられる音楽は、登場人物それぞれの想いを乗せ、過去と現在を繋いでいきます。
しんのの存在は、次第に薄れていき…。
コミカライズ版の最終巻では、彼らの物語がどのような結末を迎えるのかが丁寧に描かれます。過去を受け入れ、現在と向き合ったあおい、あかね、そして慎之介。彼らが選んだ未来とは?
特に、映画では描かれなかった「その先」のエピローグは必見です。彼らの日常がどのように続いていくのか、その温かい眼差しに、きっと胸が熱くなるはずです。具体的な結末は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
漫画版だけの魅力!映画との違いとオリジナル要素
コミカライズ版『空の青さを知る人よ』は、映画ファンにこそ読んでほしい作品です。その理由は、漫画ならではのオリジナル要素にあります。
- 丁寧な心理描写:登場人物たちのモノローグが多く、映画では表情や仕草から読み取るしかなかった心情が、より深く理解できます。特に、あかねが抱える葛藤や、慎之介の後悔が丁寧に描かれています。
- 補完されるエピソード:キャラクターたちの関係性を補強するような、細かなオリジナルシーンが追加されています。なぜ彼らがそう行動したのか、その背景がより明確になります。
- 感動的なオリジナルエピローグ:最大の魅力は、最終巻に収録されている「その後」の物語です。音楽祭を終えた彼らが、どんな未来を歩み始めたのか。映画のラストに感動した人なら、この追加エピソードはたまらない読後感を与えてくれるでしょう。
映画の感動を追体験するだけでなく、物語の解像度をさらに上げてくれるのが、コミカライズ版の最大の魅力と言えます。
『空の青さを知る人よ』はどこで読める?コミックシーモアでお得に楽しもう
『空の青さを知る人よ』のコミカライズ版を読んでみたくなった方も多いのではないでしょうか。
本作は、大手電子書籍サイト「コミックシーモア」で全4巻が配信中です。完結済みなので、物語の結末まで一気に楽しむことができます。
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よくある質問(FAQ)
最後に、本作に関するよくある質問にお答えします。
- Q. 結局、「しんの」の正体は何だったの?
- A. 「しんの」は、幽霊や生霊といったオカルト的な存在として明確に定義されていません。作中では、過去への後悔や未練、叶えられなかった夢といった、あおい達の「心」が生み出した心象的な存在として描かれています。彼は、止まっていた時間を動かすための、過去からのメッセンジャーだったのかもしれません。
- Q. 物語の結末はハッピーエンド?
- A. 誰かと誰かが結ばれるといった単純な恋愛の結末ではありません。しかし、登場人物それぞれが過去の自分と向き合い、未来へ向かって新たな一歩を踏み出す、非常に前向きで希望に満ちた結末です。切なさの中に温かさが残る、美しい読後感を味わえます。
- Q. 姉妹の関係はどうなった?
- A. 一時は衝突したあおいとあかねですが、本音をぶつけ合うことで、より強い絆で結ばれます。お互いを思いやる気持ちはそのままに、依存ではない自立した関係へと成長していく姿が描かれています。
まとめ:過去と現在が織りなす、切なくも美しい青春物語
この記事では、コミカライズ版『空の青さを知る人よ』のネタバレあらすじや、映画との違いについて解説しました。
過去の輝きと現在のやるせなさ。二人の「しんのすけ」の間で揺れ動く少女の心を通して、誰もが経験するであろう「あの頃の自分」との対峙を描いた本作。
ただの恋愛物語ではなく、姉妹の愛、そして夢を追うことの痛みと輝きが詰まった、珠玉の青春群像劇です。
- 映画を観て感動した人
- 切ない青春ストーリーが好きな人
- キャラクターの心理描写が丁寧な作品を読みたい人
上記に当てはまる方は、ぜひコミカライズ版を手に取ってみてください。映画とはまた違った、深い感動があなたを待っています。


