閉鎖的な村で静かに広がる、死の伝染――。小野不由美先生の傑作ホラー小説を、『封神演義』の藤崎竜先生が圧倒的な画力でコミカライズした漫画『屍鬼』。その衝撃的なストーリーと結末は、今なお多くの読者の心に深く刻まれています。
この記事では、2025年現在も色褪せない名作、漫画版『屍鬼』の第1話から最終巻(全11巻)までのあらすじを、ネタバレありで徹底解説します。物語の核心に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意ください。
「どんな物語だったか思い出したい」「結末が気になるけど、読む前に少しだけ知っておきたい」そんなあなたに贈る、完全ガイドです。
ネタバレ注意!読む前の確認
この記事には、漫画『屍鬼』の物語の結末や主要な展開に関する重大なネタバレが含まれています。作品を初めて読む楽しみを大切にしたい方は、先に作品を読むことを強くおすすめします。
物語の全貌を知った上で、さらに深く考察したい方は、ぜひこのまま読み進めてください。
『屍鬼』作品概要
『屍鬼』は、外部から隔絶された「外場村(そとばむら)」を舞台に、原因不明の死が連鎖していく様子を描いたホラーサスペンスです。藤崎竜先生によるコミック版は、原作の持つ不気味な空気感と、登場人物たちの焦燥や狂気を見事に描き切っています。
- 原作: 小野不由美
- 作画: 藤崎竜
- 出版社: 集英社
- 掲載誌: ジャンプスクエア
- 巻数: 全11巻(完結)
【巻別】第1話から最終話までのネタバレあらすじ
人口わずか1300人の外場村。ある夏、山入地区で3人の村人の遺体が見つかったことから、物語は静かに、しかし確実に動き始めます。
第1巻:惨劇の幕開け
猛暑が続く8月。村に不釣り合いな洋館「兼正」に、謎めいた桐敷一家が引っ越してきます。都会に憧れる高校生の清水恵は、彼らに興味を抱き洋館を訪れますが、その後、謎の失踪を遂げます。数日後、衰弱しきった姿で発見された恵は、貧血のような症状で息を引き取りました。これを皮切りに、村では原因不明の死者が次々と出始めます。村で唯一の病院である尾崎医院の院長・尾崎敏夫は、この奇妙な連続死に疑問を抱き、調査を開始します。
第2巻~第3巻:忍び寄る「屍鬼」の影
死者の数は増え続け、村は言い知れぬ不安に包まれます。尾崎は、遺体に見られる奇妙な噛み跡や、死因が特定できない極度の貧血から、これが単なる疫病ではないと確信。寺の若き副住職であり、小説家でもある室井静信と共に、村に伝わる「屍鬼(しき)」の伝承に辿り着きます。それは、死して蘇り、人の血を啜って生きる存在。非科学的な仮説を笑い飛ばす者も多い中、村の日常は静かに「彼ら」に侵食されていきました。
第4巻~第6巻:人間 対 屍鬼
尾崎は、死んだはずの妻が「起き上がり」、屍鬼と化した瞬間を目の当たりにし、その存在を確信。非道な手段と知りながらも、屍鬼と化した妻を実験台にし、その弱点を探り始めます。一方、屍鬼側も着実に仲間を増やし、村を支配下に置こうと画策。人間側と屍鬼側の双方で、生き残りを賭けた静かな、しかし熾烈な戦いが始まります。この頃から、人間と屍鬼の境界線が曖昧になり、「どちらが悪なのか」という問いが読者に突きつけられます。
第7巻~第9巻:狂気の連鎖
屍鬼の存在が村人たちに知れ渡ると、村はパニックと疑心暗鬼に陥ります。「隣人が屍鬼かもしれない」という恐怖は、人々を狂わせ、過剰な「屍鬼狩り」へと駆り立てます。かつて隣人だった者を杭で打ち、首を落とす村人たち。その姿は、血を求める屍鬼と何ら変わりありません。人間が人間性を失っていく様が、これでもかと描かれます。物語は、どちらの側にも正義も悪もない、生存を賭けた総力戦へと発展していきます。
第10巻~第11巻:終焉、そして…
人間と屍鬼の戦いは最終局面を迎え、村は炎に包まれます。多くの命が失われ、外場村は文字通り壊滅状態に。屍鬼狩りは熾烈を極め、村は阿鼻叫喚の地獄絵図と化します。憎しみと狂気が渦巻く中で、尾崎、静信、そして屍鬼たちを率いる少女・沙子、それぞれのキャラクターがどのような決断を下すのか。壮絶な戦いの果てに、外場村に残されたものとは一体何だったのでしょうか。
最終回の結末解説と主要キャラクターのその後
物語の終盤、外場村は業火に包まれ、人間も屍鬼もそのほとんどが命を落とすという、あまりにも悲劇的な結末を迎えます。
この物語に、明確な勝者はいません。生き残るために必死だった人間と、同じく生きるために血を求めた屍鬼。そのどちらもが被害者であり、加害者でもありました。最後に描かれるのは、すべてを失った村の虚無感と、生き残った者たちが抱える癒えることのない傷跡です。
主要キャラクターたちがどのような運命を辿ったのか、その詳細な描写はここでは控えます。彼らが絶望の果てに何を選び、何を見出したのか。その重い結末は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。読後、きっと「正義とは何か」「生きるとは何か」を深く考えさせられるはずです。
原作小説との違い(漫画版の特徴)
漫画版『屍鬼』の最大の特徴は、なんといっても藤崎竜先生のスタイリッシュで美しい作画です。原作の持つ重厚で陰鬱な雰囲気を、独特のキャラクターデザインと美麗な筆致で再構築。特に、キャラクターたちの恐怖や絶望、狂気に歪む表情の描写は圧巻です。
物語の骨子は原作に忠実ですが、視覚的な表現が加わることで、ホラー要素やキャラクターの感情がよりダイレクトに伝わってきます。原作ファンはもちろん、漫画から『屍鬼』の世界に入る方にもおすすめできる傑作です。
この漫画を読むべき人・読む前の注意点
『屍鬼』は、次のような方に特におすすめです。
- 一筋縄ではいかない本格的なホラーサスペンスが読みたい人
- 人間の極限状態における心理描写に興味がある人
- 善悪の境界線を問う、深く重いテーマの物語が好きな人
ただし、注意点もあります。作中には血液の描写や暴力的なシーン、精神的にショックを受ける可能性のある展開が多く含まれます。グロテスクな表現が苦手な方や、後味の悪い物語を避けたい方は、心して読み進める必要があります。
『屍鬼』をお得に読むならコミックシーモア!
今回ご紹介した漫画『屍鬼』は、電子書籍サイト「コミックシーモア」で全巻配信中です。全11巻完結済みなので、一気に物語の世界に没入できます。
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よくある質問(FAQ)
- Q:漫画『屍鬼』は何巻で完結しますか?
- A:コミック版は全11巻で完結しています。コミックシーモアで全巻読むことができます。
- Q:アニメと漫画、原作小説で違いはありますか?
- A:基本的なストーリーラインは同じですが、媒体ごとに演出や一部の展開、キャラクターの描写が異なります。特にアニメ版は、漫画版とはまた違った恐怖演出が魅力です。それぞれの違いを楽しむのも一興です。
まとめ:ただのホラーではない、人間の本質を問う物語
『屍鬼』は、単なる吸血鬼パニックホラーではありません。それは、閉鎖された共同体で「異質なもの」が生まれたとき、人間がどれほど残酷になれるかを描いた、壮絶な人間ドラマです。
読み終えた後には、恐怖と共に、深い問いが心に残ります。人間と屍鬼、本当の化け物はどちらだったのか――。その答えは、ぜひあなたの目で確かめてみてください。この夏、忘れられない読書体験があなたを待っています。


