薬屋のひとりごと小説版十六巻のネタバレ。平民にでもなりませんか?

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十六巻は疱瘡(ほうそう)、現代でいう天然痘の流行が軸になる巻です。

感染力が高く、致死率も高く、顔に痕が残る。この時代に最も恐れられた疫病の一つです。そして今回の疱瘡騒ぎは「自然発生」ではなく、人の悪意が絡んでいました。その悪意の重さが、猫猫をひどく落ち込ませます。

あばたの医師・克用

十六巻で印象的な人物が、顔に疱瘡の痕(あばた)を持つ医師・克用(こくよう)です。かつて疱瘡にかかって生き延びた人物で、免疫を持っているからこそ感染者に直接関われる。過去の傷が、今の強みになっている。

この人物造形が薬屋のひとりごとらしいと思います。十四巻の羅半兄もそうですが、この作品は「苦労した人間が、その苦労を力に変えている」場面が多い。克用も例外ではありません。

感染源と真犯人

調査の結果、通り魔に斬りつけられた子どもが疱瘡の発生源だったと判明します。当初は克用が通り魔として疑われましたが、真犯人は別にいました。妤が暮らしていた村の元村長で、克用と深い因縁を持つ人物です。

疫病の流行が人の恨みから生まれていた。「誰が何のためにこれを起こしたのか」という謎解きが疫病対応と交差する展開は薬屋のひとりごとらしい構成ですが、今回は動機の根っこが特に暗い。克用の過去と、それに連なる憎しみの連鎖が浮かび上がります。

猫猫が落ち込む

この事件を通じて、猫猫が人間の悪意にひどくあてられ、落ち込みます。

いつも観察して、知識を使って、淡々と動く猫猫が、感情的に疲弊する。珍しい場面です。「自分にできることをする」という姿勢で動き続けてきた猫猫が、その「できること」の限界と、人間の悪意の深さに押しつぶされそうになる。

そのとき壬氏に言います。「平民にでもなりませんか?」と。

宮廷の外で、ただの人として生きることを提案するこの言葉は、十五巻の「ならないでくださいね」とセットで読むと、猫猫が壬氏との未来を真剣に考えていることが伝わります。ただ今回は前向きな提案というより、疲れ果てた末に漏れた言葉として描かれている。それがかえってこの一言を重くしています。

まとめ

小説版十六巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。

  1. 疱瘡(天然痘)が流行し、猫猫と克用(あばたを持つ免疫持ちの医師)が対応にあたる
  2. 通り魔に斬られた子どもが感染源と判明、克用が当初疑われる
  3. 真犯人は妤の村の元村長で、克用との因縁が動機だった
  4. 人間の悪意に疲弊した猫猫が壬氏に「平民にでもなりませんか?」と言う
  5. 馬閃と里樹の関係にも進展がある

十五巻で大きなことが静かに決まり、十六巻では猫猫が初めてはっきりと疲れを見せます。強い人間が弱る場面は、それまでの強さが積み重なっているぶん、重く刺さります。十七巻が楽しみです。

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