【注意】この記事は、和泉亜明先生の漫画『嘲笑う世界の中で』の最終話までの重大なネタバレを含みます。未読の方は、作品を楽しまれた後にご覧いただくことを強く推奨します。
病気の夫を支えるため、すべてを犠牲にする妻。しかし、その選択は二人をさらなる絶望の淵へと突き落としていく──。息もつけないほどの緊張感と、人間の心の闇を鋭く描いた『嘲笑う世界の中で』。
この記事では、第1話から最終話（第15話）までの全話ネタバレあらすじを徹底解説します。登場人物たちの心の動きや物語の結末、そして作品に込められたテーマまで深く掘り下げていきます。
『嘲笑う世界の中で』の作品情報
まずは、本作の基本的な情報をおさらいしておきましょう。
- 作者：和泉亜明
- 掲載誌/レーベル：ヤングキングBULL、WEB BULL（少年画報社）
- 配信状況（2025年9月現在）：
- 連載版（話売り）：全15話で完結済み
- 単行本：全2巻で完結済み
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【全話ネタバレ】『嘲笑う世界の中で』のあらすじを徹底解説
ここからは、物語の核心に迫る全話のあらすじを解説していきます。壮絶な夫婦の物語を、順を追って見ていきましょう。
第1話〜第4話：絶望のはじまりと禁断の選択
主人公の留衣（るい）は、病気で働けなくなった夫・樹（いつき）を介護しながら、パートで必死に家計を支えていました。しかし、収入は乏しく、生活は日に日に困窮していきます。
愛する夫のため、そして自分たちの生活を守るため、留衣は誰にも言えない決断を下します。それは、風俗で働くことでした。
しかし、その秘密は長くは続きません。ある日、樹が留衣の仕事を知ってしまいます。妻の犠牲に絶望し、自分の無力さを呪った樹は、自殺未遂を起こしてしまいます。この出来事が、二人の関係に決定的な亀裂と、歪んだ依存関係を生み出していくのでした。
第5話〜第7話：死にきれなかった者たちの罪
心身ともに追い詰められた留衣と樹。すべての希望を失った二人は、集団自殺に参加し、共に死ぬことを選びます。しかし、運命は皮肉にも二人を生かしてしまいました。
死ぬことすら許されなかった絶望の中、彼らは「生き残ってしまった」現実と向き合わなければなりません。そしてこの場所で、樹は人の道を踏み外す、ある行動に出てしまいます。それは、亡くなった他の参加者たちから金品を盗むという行為でした。この罪が、彼らをさらなる闇へと引きずり込むきっかけとなります。
第8話〜第13話：崩壊する倫理観と忍び寄る影
一度手を出した罪の味は、樹の心を蝕んでいきました。彼は遺留品を盗む行為に味を占め、次第に行動をエスカレートさせていきます。その姿は、かつての穏やかな夫のものではありませんでした。
一方、留衣もまた、風俗店の店長からの執拗な圧力に苦しめられます。店長は留衣の弱みにつけ込み、強引に接触してくるように…。夫の変貌と外部からの脅威。二重の苦しみに、留衣の精神は限界寸前まで追い詰められていきます。夫婦の信頼関係は崩壊し、二人は完全に孤立していくのでした。
第14話〜第15話（最終話）：嘲笑う世界の果てに
すべての歯車が狂い、後戻りできない場所まで来てしまった留衣と樹。店長の追及は激しさを増し、樹の狂気はついに限界を超えます。
罪が罪を呼び、絶望が連鎖する中で、二人が迎える結末とは…。多くの読者が「救いがない」と語る、衝撃のラストが待ち受けています。彼らが最後に下した選択、そして「嘲笑う世界」が突きつけた現実を、ぜひご自身の目で見届けてください。
主要登場人物
- 相沢 留衣（あいざわ るい）：本作の主人公。病気の夫・樹を献身的に支える妻。家計のために風俗で働くことを決意するが、それがすべての悲劇の始まりとなる。
- 相沢 樹（あいざわ いつき）：留衣の夫。病気で働けなくなり、療養生活を送る。妻の秘密を知ったことで精神のバランスを崩し、徐々に変貌していく。
- 店長：留衣が働く風俗店の店長。留衣の弱みにつけこみ、執拗に追い詰めていく、物語の重要なトリガーとなる人物。
物語の結末は？最終話の展開を考察
本作の結末は、決してハッピーエンドではありません。むしろ、読後には重く苦しい感情が残るかもしれません。しかし、それは単なるバッドエンドとは一線を画します。
この物語が描いているのは、「もし自分がこの状況に置かれたら、同じ選択をしないと言い切れるか？」という、人間の倫理観への根源的な問いです。
貧困、病気、社会からの孤立…。極限状態に置かれた人間が、いかにして壊れていくのか。そして「嘲笑う世界」とは、彼らを追い詰めた社会そのものなのか、それとも彼ら自身の心の中にあったものなのか。結末を読んだ後、その意味を深く考えさせられる、非常に重厚なテーマを持った作品です。
単行本と連載版の違いは？
『嘲笑う世界の中で』は、単行本（全2巻）と連載版（全15話）の2形態で配信されています。
- 単行本：数話がまとまっているので、一気に物語に没入したい方におすすめです。巻末のおまけなどが収録されている場合もあります。
- 連載版（話売り）：1話単位で購入できるため、スキマ時間に少しずつ読みたい方や、気になる話だけピンポイントで読みたい方に最適です。
ご自身の読書スタイルに合わせて、最適な方を選んでみてください。
まとめ：人間の脆さと恐ろしさを描く衝撃作
『嘲笑う世界の中で』は、ただの暗い物語ではありません。社会の片隅で生きる人々の絶望と、極限状態で試される愛と倫理観を描いた、心に深く突き刺さるヒューマンドラマです。
読み進めるのが辛くなるほどの展開ですが、だからこそ目が離せない魅力があります。二人が迎える結末は、きっとあなたの心に何かを残すはずです。
少しでも気になった方は、ぜひこの衝撃の物語を体験してみてください。
