猫猫が壬氏の焼き印の傷を、秘密裏に治療するために通います。
八巻で壬氏が自分につけた傷は、事情を知らない医官に診せられない。だから猫猫が内密に通う。「秘密を共有する二人」という状況が、九巻をじわじわと動かしていきます。
医師と患者の、いつもと違う力関係
いつもは壬氏が立場の上にいて、猫猫を振り回す側です。九巻ではその構図が逆転します。傷を負って猫猫に頼る壬氏と、医師として接する猫猫。壬氏が自分で作った状況なのに、猫猫に気を遣われている。
その診療の場面で、猫猫が「痛いの痛いのとんでいけ」と言います。
この一言が読者によく記憶されているのは、猫猫がふだん感情を言葉にしない人間だからです。観察して、判断して、行動する。気持ちを語ることをしない猫猫が、ふとこぼした言葉。壬氏への感情が、本人も気づかないまま滲み出た瞬間です。
猫猫が壬氏に壁ドンをする
九巻で猫猫が壬氏に壁ドンをします。意図せずそうなった、という状況です。
普通の恋愛ものなら男性側がやる場面を猫猫がやる、という構図の逆転がまず面白い。そして猫猫は「やってしまった」という顔をしているだろうし、壬氏は完全に想定外の状態になっていたと思います。焼き印を押した巻の次の巻でこれが起きる。壬氏の投資対効果は悪くないです。
西都行きの準備が進む
九巻では大規模な二度目の西都行きの準備が動きます。往路だけで半月、全体では約一年という長期滞在になる見込みです。
姚・燕燕・雀それぞれの西都への関わり方が描かれます。お調子者として登場してきた雀に、九巻では何かを秘めている気配が出てきます。陸孫という人物の重要性も増してくる。西都編へ向けた伏線が、この巻には静かに散りばめられています。
まとめ
小説版九巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。
- 八巻の焼き印の傷を、猫猫が秘密裏に治療するために壬氏のもとへ通う
- 年末年始の休暇に同僚・姚が猫猫の家に泊まり、姚の背景が見えてくる
- 猫猫が「痛いの痛いのとんでいけ」と壬氏に言う(珍しく感情が滲む)
- 猫猫が壬氏に壁ドンをする(意図せず)
- 二度目の西都行きの準備が進み、大規模な旅の幕開けへ向かう
八巻の衝撃の後を受けて、九巻は静かに積み重なっていく巻です。「痛いの痛いのとんでいけ」と「壁ドン」という二つの場面が、猫猫の感情がじわじわ動いていることを示している。本人がそれを自覚しているかどうかは、この時点ではまだわかりません。
