薬屋のひとりごと小説版四巻のネタバレ。さよなら、子翠

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作者の日向夏先生が「ここで終わらせるつもりだった」と話したことがある四巻です。

読んでみると確かにわかる。一・二・三巻で積み上げてきたものが、この巻で一気に動く。でも読み終えた後に一番頭に残るのは、謎でも政変でもなく、子翠のことでした。

子翠の正体が明かされる

子翠(スイスイ)の本名は楼蘭(ロウラン)といい、「子の一族」として後宮に送り込まれた人間だった。虫が好きで明るくて、猫猫と気が合っていたあの子翠が。

知った瞬間、嫌いになれなかった自分に気づく。一族の意向で動いていたのは事実として、猫猫との時間が全部嘘だったかというと、そうとも言い切れない。嘘の仮面を被りながら、本当に誰かと仲良くなってしまうことはある。そのどちらが「本当の楼蘭」なのかは最後まで判然としないし、そこが好きです。

兄の子昌が火の中で死んで、楼蘭は生き残る。「死んだ」という形を取って東へ去る。楊貴妃が「東に去った」という伝説に重ねるような幕の引き方で、悲劇ではあるけれど、生きている。あの終わり方は何度読んでも好きです。

壬氏が皇弟だと明かす

四巻で壬氏は猫猫に自分の本当の身分を告げる。三巻で「宦官ではない」とわかった壬氏が、実は皇帝の弟・皇弟という立場にあったと。

そのとき猫猫がどんな顔をしたか、というのがこの作品の全てを象徴しています。「だから何なのか」という顔をする。相手の身分を知っても、態度が変わらない。壬氏がこんなにも猫猫に執着するのはそのせいだろうなと毎回思います。身分で人が変わる場所にずっといた人間にとって、変わらない相手は珍しいを超えて、たぶん救いに近い何かなのでは。

玉葉妃の出産と羅門

玉葉妃が逆子で難産になりかけ、猫猫が養父・羅門(ラモン)を後宮に呼ぶことを提案する。花街の薬師ながら医術全般に精通した羅門が、この場面で頼もしく機能します。

猫猫が「養父を呼ぶ」と判断できるのは、非常事態では非常手段を取るという合理性があるから。情より先に解決策を考えられる人間の強さが、この一点にも出ています。

四巻が「区切り」である理由

子の一族の反乱が鎮圧され、楼蘭が去り、壬氏の身分が明かされる。全部この一冊で起きます。

作者が「ここで終わらせるつもりだった」と言った理由がわかります。四巻は一つの区切りとして完結している。それでいて、読み終えると続きが気になってたまらない。そういう区切りです。終わらなくてよかった、とも思っています。四巻が区切りとしての強度を持っているからこそ、五巻以降が「ここからまた始まる別の話」として読める。

まとめ

小説版四巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。

  1. 玉葉妃が逆子で難産、養父・羅門が呼ばれて対処する
  2. 子翠の本名は楼蘭で、子の一族の人間として後宮に潜入していた
  3. 子の一族が反乱を起こし、猫猫が拉致される
  4. 反乱は鎮圧、子昌は死亡、楼蘭は死を偽装して東へ去る
  5. 壬氏が自身の真の身分(皇弟)を猫猫に明かす

四巻を読んだ後に一〜三巻を読み返すと、子翠との会話の一つ一つが違う色になります。知ってから読み返す楽しさをくれる作品です。

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