四巻で「壬氏は皇弟だった」という答えが出ました。五巻でその答えがひっくり返ります。
これをやるか、という気持ちになります。一巻から積み上げてきた「謎が解けた」の足元を、次の巻でもう一段深く掘る。続きを読みたくなるのは当然で、この構造を作った人はなかなか意地悪だと思います(褒めています)。
猫猫、西都に連行される
壬氏が西都へ赴くことになり、猫猫もその一行に加えられる。「連れて行かれる」という表現が正確で、猫猫の意志はほぼ関係ない。
しかも嫁候補として里樹妃と翠苓も同行している。壬氏の縁談を進めるための旅でもあるわけで、猫猫もその「候補の一人」として扱われているような状況です。本人が一番「なぜ私がここにいるのか」という顔をしていると思いますが、それを言葉にしないあたりがまた猫猫らしい。
壬氏と猫猫がキスをする
西都で、壬氏と猫猫がキスをします。一〜四巻を通じてずっと「この二人はどうなるのか」と思いながら読んできた読者には、ようやく何かが起きた場面です。
ただし猫猫の受け取り方は、読者が期待するほどロマンティックではない。壬氏の目を「人形のような目」で見返していたという描写が猫猫らしくて好きです。完全に無関心ではないことはわずかに伝わる。でも「面倒くさい」という感情は消えていない。その「消えていない面倒くさい」の中に、少しだけ違うものが混じっている。そのわずかな変化を読者が拾う仕掛けになっています。
壬氏の出生の秘密
五巻の終盤で、壬氏の出生に秘密があったことが明かされる。四巻で「皇弟」とわかったはずが、実は幼少期に赤子の入れ替えが行われており、壬氏は現帝の弟ではなく息子——皇子だったと判明します。
この入れ替えを皇太后も承知していた、ということも明かされます。
四巻の「皇弟」という答えが揺らぐだけでなく、その周囲にいた人間全員が何かを知っていた可能性が出てくる。「誰が何を知っていたか」という問いは、宮廷の権力構造そのものに関わります。後宮の謎解きから、帝位の正統性という話になってきた。五巻以降の話が、一段大きくなる転換点です。
まとめ
小説版五巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。
- 猫猫が壬氏の西都行きに連行される(嫁候補として里樹妃・翠苓も同行)
- 西都で蝗害の予兆や紙の村の所有権問題など新たな謎に巻き込まれる
- 壬氏と猫猫がキスをする
- 壬氏の出生の秘密が明かされる(皇弟ではなく皇子だった)
- この入れ替えを皇太后も承知していたことが判明する
「壬氏は何者か」という問いに四巻が一度答えを出して、五巻がその答えを更新する。一つの謎が解けるたびに次の謎が現れる構造は、三巻あたりからずっと続いています。慣れているはずなのに、毎回やられます。
