約一年ぶりに都に戻ってきた十三巻です。
九巻から続いた西都編が十二巻で締まって、十三巻でようやく都に帰ってくる。「やっと帰ってきた」という安堵感が、読んでいてもあります。長い旅の後に戻ってきたとき、変わったのは自分たちだけではない。都も、そこにいた人たちも、一年分変わっている。その「すれ違った時間」を感じさせるのが十三巻です。
梅梅が花街を出ていた
一年ぶりに都に帰ってきた猫猫たちを待っていたのは、変わった状況です。花街の姉さん格だった梅梅(メイメイ)小姐の身請けが済んでいました。
猫猫にとって馴染みの人物が花街を出た。この変化が最初に描かれることで、「自分たちがいない間に時間は流れていた」という感触が出ます。派手な出来事ではないぶん、じんわりときます。一緒に西都に行った面々が帰ってきた同じ場所で、残った人たちの生活は続いていた。
雀の本当の主人が明かされる
十二巻で正体が明かされた雀が、実は誰に仕えていたのかが十三巻で明らかになります。
これを知ると、西都編で起きた出来事のいくつかが別の意味を持ち始めます。「九巻から読み返したくなる」と言われる所以がここにあります。雀が何気なく言っていた言葉、何気なく取っていた行動の意味が変わる。知った後で読み返すと見えていなかったものが見える種類の明かし方で、この作品が得意とする構造です。
猫猫が壬氏に素直になる
十二巻で「根負けしてやる」と決断した猫猫が、十三巻では壬氏の思いに対して素直になる場面があります。
「両想いになったきっかけ」として読者に記憶されるシーンです。「結婚」とか「恋人」という明確なラベルが貼られるわけではない。猫猫らしい距離感のまま、それでも何かが変わった。一巻から積み重ねてきた関係が、ここで一つの形になります。重大な瞬間ほどさらっと描かれるのがこの作品のやり方で、だから読後に「あの場面が好きだった」という余韻が残ります。
まとめ
小説版十三巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。
- 約一年ぶりに都に帰還し、梅梅の身請けなど変化に直面する
- 女華・天祐が皇族のご落胤ではないかという話が浮上する
- 西都に残されていた羅半兄の苦労が語られる
- 猫猫が壬氏の思いに素直になり、関係に進展がある
- 雀の本当の主人(仕える相手)が明かされる
長い西都編の後だからこそ、都に戻った十三巻の空気感が効いています。休憩しながら走り続ける、そういう一冊です。十四巻からまた新しい話が始まります。
