十二巻は西都編の最終巻です。
一巻から積み上げてきた「猫猫と壬氏の関係」が、この巻でようやく動きます。動き方が猫猫らしくて、「根負けしてやる」という言葉で決着がつく。ロマンティックかと言われるとそうではないのですが、これ以上猫猫らしい受け入れ方はないとも思います。
雀の正体が明かされる
「お調子者の護衛」として描かれてきた雀に、重い過去と本当の立場があったことが十二巻で明かされます。
軽い調子で場を和ませてきたあの雀が、何かを抱えながらずっと動いていた。その経緯が語られる場面は、猫猫に重い言葉として刺さります。お調子者のキャラが「仮面」だったとわかる瞬間は、四巻の子翠と似た構造です。この作品は明るい人物ほど、内側に何かを抱えている。
雀が猫猫に言います。「あんたは運がいい。相手がやたらしつこくてねちっこくて諦めが悪い人で、なおかつ——あんたが根負けしてやるって思った程度にいい人で」と。
この言葉が猫猫を動かします。
猫猫が根負けする
一巻から延々と「面倒くさい」と距離を取り続けてきた猫猫が、壬氏への態度を変える決断をします。
「根負けしてやる」という言い方が、猫猫以外には絶対に出てこない受け入れ方です。「好き」とも「認めた」とも言わない。ただ「負けてやった」と言う。でも読者はそれが「認めた」ということだとわかる。七巻でプロポーズされ、八巻で焼き印を押され、九巻でくすぐられ壁ドンされ、それでもずっと動かなかった猫猫が、雀の言葉で動いた。壬氏の行動ではなく、第三者の言葉で。そこも猫猫らしいと思います。
猫猫の雲隠れ旅
玉鶯の後継者争いに巻き込まれた猫猫が、しばらく表舞台から姿を消す「雲隠れ旅」に出ます。護衛役の鏢師と共に、ひっそりと旅をする期間です。
外から関わる問題を解決し続けてきた猫猫が、自分の内側と向き合う時間を持つ巻でもあります。西都という大きな舞台を経て、猫猫が少し変わっていく。その変化がこの旅の中で静かに積み重なります。
まとめ
小説版十二巻のネタバレをまとめると、以下のとおりです。
- 玉鶯の後処理として壬氏が西都の政務を担い、猫猫は傍で支える
- 雀の正体と壮絶な過去が明かされる
- 雀の言葉を受けて、猫猫が壬氏への態度を変える決断をする
- 猫猫が玉鶯の後継者争いを避けるため「雲隠れ旅」に出る
- 西都編が締めくくられ、都への帰還へ
壬氏が喜びすぎないことを願いたいところですが、おそらく盛大に喜んだと思われます。九巻から続いた西都編は重い話が多かったですが、この「根負けしてやる」という決着が、読後感を温かいものにしてくれます。
